小説
□たまには
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とある冬のとある日曜日―
「郁……いい加減に起きろ」
「ん〜?んー…」
図書特殊部隊(ライブラリー・タクスフォース)に所属する二人にとって、公休は恋人であることを満喫出来る貴重な時である。
それが分かっている堂上にとっては、いつまでも起きない彼女がもどかしかった。
「……郁…起きろよ…」
「んー…」
堂上は軽くカチンときた。
「郁、いい加減にしろ。貴重な公休をどれだけ無駄にしてるか分かってるのか?」
「おはようございます!篤さん!」
郁が慌てた様子で起き上がる。
そして、ベッドの前で仁王立ちしている堂上を見上げた。
身長170p級の郁は、目算で165pあるかないかの堂上より背が高い。
よって見上げることなんて滅多にないことだ。
「あれ?篤さん、どうしたんですか?」
寝起きの可愛い郁に上目遣いで見つめられた堂上は、顔を赤く染めながら目を逸らして言う。
「な、何でもない!早く顔洗ってこい!」
「…篤さん、もうちょっとだけ寝たらダメですか…?」
「なっ…!」
「そうだ!篤さんも一緒に寝ましょう!まだ布団暖かいですから!」
なるほど……一緒にならいいのかもしれないな…。
しかし―
可愛い郁を見てしまった後で理性を保てる自信など無かった。
…やっぱり起こそう
「郁?」
呼び掛けたが、また眠ったようだ。
「ったく、しょうがないやつめ…」
横たわる郁の頬に軽く触れると、郁の手が堂上の手を掴んだ。
そして
「篤さん、だいしゅきでしゅよ…」
と幸せそうに微笑み、また静かに寝息を立て始めた。
「…呂律回ってないぞアホゥ」
と言うと、自分も布団に入り横たわった。
「たまには…な…」
と言って目を閉じる。
『お前より俺の方が絶対好きだ』
と心で呟きながら眠りに落ちていった。
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初の図書戦話。
堂郁はベストカップルだと思う。
てか、郁寝るのはやっ!
2011年 3月15日 加筆修正