彩りの栞
□桜花の記憶
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私は…私は…!!
堀に架かった橋を渡って、見知った場所を駆け抜ける
『記憶』の中にある…その場所とは少し変わってしまっていたけど
でもきっと…
――会いたい…
愛しい気持ちが溢れ出す
どうして…忘れてしまっていたの?
あんなに愛していた貴方の名を
――いいえ
忘れてなんていない
ずっと覚えていたの
ずっとずっと…時を越えて、空を越えて
愛しい貴方の姿とその名を魂に刻んでいた
だからずっと…貴方の夢を…
桜の花を風が舞い上げる―――
夢で見た…そのままの景色
そこに佇むのは…緋色の服を纏った青年