彩りの栞
□桜花の記憶
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―――16歳の誕生日
私は学校の郊外研修で山梨県の武田神社に向かっていた
折りしも時は…桜舞う季節
「どうしたの?さっきからずっと元気ない様子だけど」
ずっと黙ったままバスの外を見つめていた私に友達が声をかける
「ん…何でもないわ」
そんな友達に笑顔で返すけど…
だけど…
どうして…こんなに心がざわめくの…?
「もうすぐ、武田神社に到着します。下車の準備をしてくださいね」
バスガイドさんのアナウンスにはっとして慌ててバックを手に取る
バスを降りると―――そこは一面の桜花
「ここは…」
頭によぎったのは…とても強い懐かしさ
初めて来た筈なのに…?
「…っ!!」
頭に一瞬、沢山の場面が流れ込む
そう…ここは…この場所は…!!
「あ!どこへ行くの!!」
制止する友達の言葉を振り切って私は走り出す