小説

□次女の憂鬱
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01.テスト前


来週からテストだし、そろそろノートをまとめようかな。

そう思った矢先


「ナミ姉!遊ぼうー!」

末っ子のエミが飛びついてきた。



「ごめんね、テスト前だからノートまとめたいの」


「えー!」


あからさまに頬を膨らませて拗ねるエミ。

どうしたものかと考えていると


「だったら、エミも手伝う!」

余計なことを言い出した。



「それいいね!私も手伝うよ!」


妹たちの会話を離れたところで聞いていた長女、メグ姉まで余計なことを言い出した。



「自分でやらないと意味ないから、手伝わなくていいよ」


やんわりと二人に言うと、既に私の声は届いていなかったようで

勝手にノートをまとめられ始めていた。





呆れ返って、しばらく二人を放置していると

「エミ危ない!」

というメグ姉の声がした。


すると、メグ姉が机に置いていたコーヒーの入ったマグカップをエミが倒したところだった。

マグカップから液体は全て流れ出し、私のノートは黒く染まっていた。



「ごめん…ね?」

エミが申し訳なさそうに謝ってきた。



「大丈夫だよ!まとめ終わった方のノートは無事だから!」

メグ姉が得意気に言いながら、二人でまとめたらしいノートを差し出した。



「…ありがとう」

とりあえず、お礼を言ってからノートを受け取った。




家で勉強は無理だと判断した私は、近所の図書館で勉強をすることにした。


さっき受け取ったノートに目を落とす。


メグ姉が書いたであろう場所は、カラフルすぎて目が痛い…


エミが書いたであろう場所は、誤字だらけ…


元々の自分のノートは真っ黒…






後日行われたテストを落とさなかったのは奇跡だと思う。



もう家で勉強はしないと密かに決意したナミであった。
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