短編小説
□『Trick or treat!』
1ページ/6ページ
※ルーク in TOV/(ユリ→←ルク)
本日買い出し係となった3人の女性陣。
そのなかで、特にうっきうきのテンションで宿へと戻って来たのはエステルである。
すでに日も暮れ、他の客はそれぞれ部屋で休んでいるのか、ロビーはだいぶ静かだ。
そのロビーで、ユーリ達は女性陣を待ちながら
本を読んだり武器の手入れをしたりと、各自自由にしていた。
そして、女性陣が帰って来たことで、その場は一気に賑やかになる。
「ルーク!ルークは何処です?」
目をキラキラさせたエステルが、唯一姿が見えないルークをきょろきょろと探しだす。
「ルークならさっき日記帳取りに行くって部屋に戻ったけど…」
どうしたの?と、尋ねたのはカロルだ。
子供のようにはしゃいだエステルのハイテンションに、
ユーリとカロルは思わず顔を見合わせる。
軽く居眠りをしていたレイヴンも、興味をそそられたのかパチリと片目を開けた。
「よかったわね〜ガキんちょ。あんたとルークにお土産持って来たわよ」
「…え゙」
腰に手を当てたまま、リタはニヤリとした悪い顔になった。
反対に、カロルの態度は若干引き気味になる。
リタがこういう顔をした時は、大抵、無茶なことを押し付けられるか、
はたまた玩具にされるか…
今日は台詞からして後者かもしれない。
そんな時
トントントンと軽やかな足音が近づいてきて、階段から明るい声が降ってくる。
「おかえり!エステル達戻ってたんだなー」
暇つぶしに日記を書くつもりだったらしい。
日記帳を手にしたルークが、なぜか項垂れているカロルに首を傾げながら、皆のもとに駆け寄る。
「ルーク!」
「え?うわっ!」
ぱぁっと顔を輝かせたエステルは、待ってました!と言わんばかりにルークの両手を掴んだ。
え?え?っと思っている間に、自然と彼女と向き合う形になるルーク。
「え、エステル…?」
ルークは大きな翠色の瞳に覗き込まれ、思わずどきまぎしてしまう。
しかし、ガサゴソと袋から出されたモノを見て、ルークは見事に固まった。
.