短編小説
□パセリの安息
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血走った目が、ルークへと集中する。
激しく嫌な予感が込み上げてきた…
「頼むよ!君からうちの部に入るように口利いてくれ!」
「いや、是非うちの部に!」
やっぱりぃぃぃっ!!!!
嫌な予感が的中し、ルークの眉が思わずハの字になる。
これはあれか、将を射とすればまずその馬を、ってやつか!
「い、いや、あのっ…」
「剣道部に入るように言ってくれ!この通り!」
ルークはたじたじながらも口を開くが、気持ちはもういっぱいいっぱいだった。
見知らぬ上級生。
何より彼らの目がギラギラしていて、
正直、…怖すぎる。
「し、失礼しますっ!」
がばっと勢いよく頭を下げた次の瞬間、ルークは一目散に駆け出した。
ぽかんと、先輩達は一瞬呆気に取られる。
が、すぐに我に返りルークの後を追ってきた。
「待てェ!!」
「話だけでも…!」
そんなの知るかぁあぁあ!!!
心の中で大いに抗議するが、血走った顔で追ってくる彼らにはきっと無意味だ。
しかも捕まれば、無理難題を押し付けられるに決まってる。
そんなの冗談じゃない。
追い付かれたら一溜まりもないと、ルークは一心不乱に走った。
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