短編小説


□しんでれら
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そんなある日。


お城から一通の招待状が届きます。

内容は"王子のお妃を決めるための舞踏会を開催する"というもの。


「あら、舞踏会なんて素敵ね」


「はい、いっぱいオシャレができて嬉しいです!」


何を着ていきましょうか?と考えて始めたジュディスとエステルの表情は、それはそれは楽しそうです。


「上手くいけば玉の輿かー。悪くないかもねー」


面倒臭がるかと思われたリタも、利益があるならと案外乗り気でした。


「えぇー、リタも行っちゃうのか?」


「まぁねー。どうせタダだし」


リタは行かないだろうと踏んでいたルークはため息を溢しました。


舞踏会には女性しか参加出来ません。


ルークはお留守番を余儀なくされました。


「ちぇ、俺も行きたかったなぁ…」


がっくりと、ルークは肩を落とします。


「ルークも玉の輿に興味があったんです?」


「ふふ、それともオシャレに興味があったのかしら?」


エステルは純粋な疑問のようでしたが、ジュディスの方は完全なからかい口調です。


「どっちも違うっての。俺が興味があるのは豪華な料理の方!」


パーティーって言ったらご馳走じゃん、と口を尖らせるルーク。


拗ねてしまったルークが可愛くて、ジュディスはよしよしと頭を撫でてあげました。


それを見て、リタとエステルも慌てて口を開きます。


「し、仕方ないわね!お土産にケーキでも買って来てあげるわよっ」


「はい!ルークの大好きなチキンもお持ち帰りします!」


リタやエステルも、一生懸命ルークを元気付けました。


その気持ちが、何だかとても嬉しくて。

温かくて。


ルークのしょげた気分が水に溶けるように消えていきました。



「うん、ありがと。俺の分も楽しんで来てくれよな!」


ルークはにこっと、花が綻ぶように笑います。


その笑顔に釣られるように、三人もまた、嬉しそうに顔を緩めました。




ルークは自分に出来た姉妹が
この三人で本当によかったな、と心から思ったのでした。


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