短編小説
□キライ、
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「イライラすんだよ、てめぇは」
弱くて、脆くて、泣き虫で。
いつもいつも、へらへら、笑って。
それでも、アイツの周りには、いつも人がいて。
アッシュは剣を抜き、目の前に居る朱に、矛先を向けた。
そして、ゆっくりとその切っ先を、ルークの頬へ、ピタリと、宛てがう。
「…アッ、シュ?」
ルークの背中に、嫌な汗が流れる。
恐怖で、心臓がドクドクと、脈打つのが分かった。
その表情を見て、アッシュは微笑すると、剣を手前にスッと、滑らせる。
「お前の甘さには、心底、虫酸が走る」
切っ先は、ルークの白い肌に赤い線を描き、
ルークの頬と心に、小さな傷を残した。