素敵な頂き物


□たなや志穂様より
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「遅かったな」

「嫌味なら後で聞く。ルークは」


シオンはため息をついて顎でその場所を示した。
ルークのいる場所は見晴らしのいいテラスの一番端。膝を抱えて、かすかに鼻をすする音がして、ユーリは軽くため息を吐いた。


「ルーク」


声をかけるユーリを横目にシオンはその場から静かに去った。口惜しいが、彼に任せておけば丸く収まることをよく理解しているからだ。


「おーい、返事くらいしろよ」

「ゆ、ゆぅり……ご、ご、ごめん、なしゃ……!」


舌っ足らずな口調がどうにも可愛くてユーリは思わずルークを抱きしめた。


「別に怒ってねえよ。……んで、何で逃げた?」

「だって、に、にあって、ないから、!」

「何が」

「いしょう……」

「ばーか、見惚れてたんだよ」

「みとれ……?」


ユーリはルークの額に自らの額をこつんと合わせた。ルークが恥ずかしがるのも構わず口付けると今度は真っ赤になって、まるで林檎のようだと思った。




「そ、いえば、ユーリ、吸血鬼……」

「んじゃ、ルークはさしずめ使い魔の子猫か?」

「俺は子供じゃねえ!」


顔を真っ赤にしたまま講義するルークをなでこなでこと撫でると不本意ながら大人しくなるのが余計に可愛らしく感じてユーリはまた口付ける。


「どうかした?」

「どうかしてるぜ、俺も」

「?」

「よし、ルーク。抜け出すか」

「あ、……!」


ユーリはルークをお姫様抱っこするとテラスからひらりと飛び降りた。着地してそのまま大通りと市場を抜けると、ユーリが使っている酒場の二階まで戻ってきた。

部屋に入り、ルークをベッドに下ろすとユーリは身につけていたマントを脱いでタキシードの胸元をくつろげた。


「ったく、かっちりした服は息苦しくてたまんねえな」

「せっかく似合ってたのに。俺、そういうの似合わねーし。こう、馬子にも衣装みたいな」

「そうだな。似合わないな」

「はっきり言うな! これでもかなり気にしてるんだぞ!」

「何も気にしなくていい。ルークは十分可愛いから問題ない」

「男が可愛いなんて言われて喜ぶかー!」


キャンキャンと吠える子犬よろしく、ユーリはルークを押し倒したい衝動にかられていた。どうするかと考えあぐねいて、結局。


「ルーク」

「何?」

「食べていいか」

「何を?」

「お前を」

「俺? …………は、ぇえええっ!?」


ユーリは有無を言わせず、ルークを押し倒してしまうと、美味しく頂きましたとさ。










(ゆゆゆゆゆーり!)
(待ってやらねえぞ)
(はず、はずかしっ……!)
(ああ、ヤバいな、お前可愛いすぎ)





ユーリはぺろりと唇を舐めた。



君は僕のもの






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