短編小説
□かんちがい
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「うわあああああッ!!」
ガバッ!っと勢いよく飛び起きた。
ゼィゼィと、まるで全速力で走って来たかのような荒い息を繰り返す。
呆然としながら周りを見渡すと、そこはしっかりと自分の部屋だった。
「ゆ、ゆめ…?」
はぁ――…と長いため息を吐く。
つか、俺、なんつー夢を……ッ。
俺の口に触れた指先。
あとほんの少しで触れそうになった、ユーリの唇。
「うきゃ――――ッ!!」
思い出した光景に頭が沸騰しそうな勢いだ。
「やかましいッ!!」
バンッ!とぶち破るような勢いで扉が開かれる。
「ア、アッシュッ」
「朝っぱらから変な雄叫びあげてんじゃねぇ、この屑がッ!!」
「違う!不可抗力なんだああッ!!」
「だから何だっつてんだ!!いい加減怒るぞ!!」
「もう怒ってんじゃんッ!!」
そうツッコんで頭から布団に潜り込む。
アッシュがまだ何か言っていたが、正直もうそれどころではない。
どうしよう、どんな顔して会えばいい!?
そもそも、ユーリが好きだって気付いて…それから、それから!?どうすればいいんだ!?
だめだ、今の俺では経験値が低すぎる…ッ
あああ、とルークは布団の中でひたすら身悶えた。