短編集

□お前の一言で世界が変わる
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「……赤司、このチームをやめる。もう…」


嫌だ、と告げるんだろう。その喉を裂いてやればその先を聞かなくて済むだろうか。いや、その口を切り刻んだり、塞いだりすれば話せなくなるか
だがそんなことをしてしまえば声が聞けなくなるから俺は嫌だ


ーー俺から離れることになるくらいなら、いっそのこと…壊れてしまえ


「あ、かし……っ…」


苦しみに歪む顔。その目尻には涙が浮かび、苦しそうに細める目には俺が映っていた


「…なんで、なんで、俺は俺は…ただ勝つことだけが当然だ。それが間違っているだなんて言うのか。なぁ、なぁ…!!俺は間違っていない!
なのに、どうして俺から離れるんだ。あぁ、そうか黄瀬や紫原達に誑かされたんだ。きっとそうだ。黒子にも何か言われたんだな
じゃないと、お前はそんなこと言わない」


細い首に手を回しながら告げる。そうだ、お前を誑かす奴らはすべて壊してしまおう
そうすればお前は俺から離れないだろう。なぁ、そうだろう?


「俺から離れることは絶対にあり得ない。俺の言うことは絶対だ」


「や、め……っ」


「嫌だ。この手を離せば、二度と俺の元には戻ってこない。お前は俺の言うことだけを聞いていればいい
俺以外の言葉に耳を傾けるな、俺以外の奴らを見るな、俺以外に話しかけるな、俺以外の近くに行くな
お前は俺だけに従えばいい」


「か、は……っ!」


「はい、赤司に従います。その一言だけいえばいい。その言葉以外は聞かない」


聞きたくない。それ以外を聞いてしまえば、きっとお前を失う
せっかく手に入れたのに手放さなければならないのは許さない。お前は俺の所有物だ
さぁ、この腕に力を込めようか


「俺の許可なしに離れるのは許さない」




お前が俺の存在を否定し、拒絶するのならば

お前を壊して、俺は自分を××そうか


お前が肯定し、俺の側にいるというのならば

お前を害するものを壊して、俺とお前以外を××してしまおう



お前の一言で世界が変わる



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