捧げもの

□孤高の三柱
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「すっかり遅くなった、な……。今日の夕飯、何にしようか」


バイクを止めながらふと家の冷蔵庫に何かあったかと思い出せば野菜と少しばかりの肉だけが頭を過る



「……カレーにしよう」


ウーン……!


犬?いや、家の回りに猫は多けれど犬はいなかったはず


荷物を片手に自宅の前で思わず立ち尽くした


玄関の前で傷だらけの人が倒れていた



……人?行き倒れ??
表札には「雲雀」と書かれているから普通は近寄らない。しかも近くにそのペットであろう小さな白銀の狼がその人の体を労るように舐めている
狼は絶滅したはず。況してや白銀の狼なんて……



「仕方ない、か。このまま放っておくわけにもいかないし……」



玄関の鍵を開けてそのまま荷物を棚に置いてから人を背負って中に入り畳に寝かせる
入るのを遠慮しているのか辺りを見回す狼が視界に入った



「おいで、主人が心配なんだろう?」


「バウ……!」


「大丈夫。手当てするだけだから何もしないよ
そのまま上がりな。今日は冷え込むよ」


しばらく躊躇ってから玄関を通って部屋にやってきた
やはり狼、なのだろう……



″緑たなびくー並盛のー♪″


「はい、もしも……《恭弥!元気ー?お姉ちゃんだよー》……うん、元気。姉さんも元気そうだね」


《もち!あ、あのね、今日はXANXUSがウイスキー飲み干しちゃってさ、スクが買いだめするのを忘れてて今、カオスな状態!「このドカス共!さっさと買ってきやがれ!」
XANXUS、もうちょっとしたらスクが帰ってくるから待ってて!》


相変わらず騒がしい暗殺部隊だ。本当に暗殺部隊なのかが疑いたい


《恭弥は何か困ったことない?仕送りはちゃんと残ってる?》


「うん、助かってるよ
あ、そうだ。人を拾った」


《は?拾った?人を?》


「うん。ついさっき帰ってきたら小さな白銀の狼を連れて倒れてたから今、部屋に上げたんだけど……
似てるんだよね、僕に」


《んん?いまいち状況が……》


「とりあえず今はそれだけ。また、何か分かったら電話するから彼等を止めなよ。煩いから」


《あ、そう?じゃ、止めてくるね
恭弥、ちゃんと鍛練は怠らないように!分かった?》


「当たり前でしょ。姉さんこそ彼にうつつを抜かしてたら体が怠けるよ。じゃ、切るね。おやすみ」


《うん、おやすみー》


ピッ、と電話を切ってから彼の手当てを再開する。やっぱり心配な様でずっと狼は鳴いていた
カレーを作って食べてから軽く家事を済ませて再び居間に向かえばまだ眠っている。少し肌寒いから毛布を掛けてあげてからそのまま襖に背中を預けて眠りについた



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