捧げもの

□いつも、いつでも、いつまでも
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「うーん……雨かぁ」


急に雨が降ってきたから雨宿りをしている
チルタリスをびしょ濡れにするわけにもいかないし、止むまで待とうかな
一人は嫌だし……


「あ、そうだ。誰もいないし出ておいで、ミュウツー」


出てきたのは遺伝子ポケモンのミュウツー
ある研究者から造られたポケモン。人前に易々と出せないからこういう時じゃないと会えないし話せない


【マスター、いいのか?我を出しても】


「うん。今は誰もいないからね
ごめんね、大っぴらに出せなくて……」


【マスターが謝る必要はない。それよりも……怪我は大丈夫なのか?】


「うん。だいぶ痛みは引いたよ
跡が残らないといいけど……。さっき久しぶりにノボリとクダリに会ったけど全然変わってないや
1ヶ月だけしか経ってないけど」


【我は変化ということを知らない。人間やポケモン達は変われる
我の変化とは……】


「変化はあるよ。こんなに大きくなった
初めは小さかった体も成長して僕よりも背が高い。それにミュウツーだってポケモン」


ね?と笑ってミュウツーに抱きつくと優しく包み込んでくれる
小さい頃からウィンディと一緒にミュウツーもいた。初めは大人たちが気味悪がって殺そうとしたけど僕がミュウツーを連れて研究所から逃げた


「ミュウツーだって涙を流せるし、怒ることも悲しむこともできる
だから、笑って?笑うと楽しいよ。体がポカポカと温かくなるの
それに嬉しくもなる」


【笑う…?】


「うん。他のポケモン達と一緒にいると楽しいでしょ?」


【楽しい……のかは分からない。でも、マスターや他のポケモン達に離れていって欲しくない。一人は寂しいのだ】


「うん。僕も同じ
ポケモンもみんな一緒。だからミュウツーもポケモンなんだ」


【我もポケモン……】


「そうだよ
あ、雨が止んだみたい」


外の雨音が消えて小屋の窓越しに見ると雨上がりで虹が出ていた


「ミュウツー、虹が出てるよ!」


【そうだな。……美しい】


「綺麗。じゃあ帰ろっか」


【あぁ】


ミュウツーをボールに戻して僕はこっちにある家に向かって歩き出した





いつも待ってる人がいて

いつでもポケモン達が側にいて

いつまでも信じる人がいる


だから僕は負けないよ
誰であろうと、ね




END
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