ON『永遠』 *clap限定小説




時々…不安に思う。


今ある何気ない日常が、
何気ない時間が、

突然消えたら…って。



「リーダーは…どう思いますか?」



俺のとなりに座り、一生懸命
話しを聞いていたリーダー。

一旦話し手をバトンタッチし、
彼の右肩に頭をあずけた。



「突然和がいなくなったら?」

「…どうしますか?」

「うーん……」



深く考え込むように
目を瞑る。

ここからの彼の横顔が
やたら大人びて見えて、
その表情にドキッとさせられた。



「和がいなくなったら…」

「うん、」



「俺もいなくなる。」



ゆっくりとその瞼を上げると
どこか遠くを見つめた。



「……どういう意味ですか?」



いつになく真剣な答えに
聞き返しざるを得ない。



「だって和のいない空間なんか“空間”じゃねぇもん」

「んー…ん?」

「だからおいらは、和を探す旅に出る。」



少しだけこっちを向き
俺と目を合わせるリーダー。


彼のがちょっとだけ背が高くて
目線が上にいくからかな。

本当に…格好いい。



「探し出せますか、俺を。」

「うん。どこにいたって必ず見つけて、ここに連れ戻す!」



自信満々に言い切ったあなたの言葉は
何の根拠もないくせに
何故か信じられる。



「んふふ、リーダーを信じます。」



うん、と頷いた彼は
最高に優しく微笑んだ。

でもすぐに不安げな表情になる。



「……いなくなるなよ?」



仮定の話を深刻に考えたらしい。



「あなた次第ですよ。」

「え?」

「あなたがここをつなぎ止めといてくれれば…ずっとそばにいます。」



“ここ”を示すように
自分の胸に手をあてる。


一瞬の間の後に
彼の片手が、俺のそれに重ねられた。



「分かった。」



指と指を絡めて繋ぐと
もう片方の手で俺を引き寄せて
抱きしめる。



「りぃだ…///」

「おいらが離さなきゃいいんだ。」



温かい彼の胸に
すべてを委ねた。


この瞬間を
いつまでも感じていたいから



「……離さないで下さい…ずっと。」



恥ずかしくて下を向く俺の頭を
くしゅくしゅ撫でるリーダーの手。

どうしようもなく戸惑って
上を向いた瞬間…





甘くとろけるような口付けが
俺を待っていた。





‐END‐


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