Ohno*

□ロイヤルミルクティー
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いれたての熱い紅茶に
角砂糖を一つ落とす

すーっと溶け込んだら
ミルクをたっぷり注いで
そっと混ぜる



「んー……」



甘さが足りなくて
もうひとつ、角砂糖を追加

入れすぎたぐらいが
丁度いい。





行きつけの喫茶店の
甘い甘いロイヤルミルクティー





「……甘過ぎやしないですか?」



おいらと同じものを頼み
同じように味を整えた和が
となりで微笑してる。

ちょっと内股で座って、カップの中を覗き込むキミが…すごく愛しい。


片手を和の腰に添えて
こっちに引き寄せる。

するとキミは嬉しそうに
自分の身体を預けてきた。


ふわっと甘い香りがする。



「このお店…静かで落ち着きますね」

「うん」

「誰も見てないし、騒がない……」



和は目を瞑ると
ふー…っと大きく深呼吸した。



「……優しい香り」

「他のヤツには秘密だからね、ここ」

「分かってます、」



目を開けると
おいらのカップに手を伸ばした。



「智と俺だけの…秘密ね」



手に取ったカップを口元に運び
少しだけ口を開く。


(どうしよう……可愛すぎる…)

この店の雰囲気に飲まれてんのか
いつにも増して、色っぽい。


口に含んだ液体が喉を通過すると
ふふっ、と笑ってみせたキミ。



「やっぱ甘過ぎ(笑)」



カップを置いて、唇に付いた水滴を舐めとる仕種さえもう……



「ちょっと俺の飲んでみて……ん…っ!?」



衝動的に唇を重ねると、和の唇にはまだ水滴が残ってたらしく…甘い。

その甘さを二回、三回と感じてから唇を離した。
ベトベトした余韻を残しつつ、ゆっくりと離れる。



「……は…っ…さとし…///?」

「和…甘くて美味い」



バカとか何とか言われると思ったけど、俺の胸に顔を埋めてきただけだった。



「………んも…っ///」



吐息混じりに聞こえた本音じゃない文句は、口づけでかき消した。

和の両手が背中に回される。





ロイヤルミルクティーの
温度が下がるにつれ

おいらたちは徐々に
熱を増していった。





‐END‐

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