Ohno*

□キミという名の魔法
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《……痛ぇっ!!》

《えっ!どうしたんですか!?》

《足捻った…っ!…このクソ床!!!》



まだみんな幼くて
嵐の結成すらしてなかった頃。


二宮とふたりで
ダンスの練習してた時だ、

ひどく足捻ったの。



《なんだぁ、捻っただけ?》



……なんだコイツと思った。


人がこんな痛がってんのに
“だけ”ってなんだよ。

初めて逢ったときにも
なんかタメ口だったし。


自分の中ではピカイチに
嫌なヤツ…だったんだ、最初は。



《骨折れてんのかと思った(笑)》

《折れねぇし!》



しかも“(笑)”ってなんだし!!


無邪気すぎて、人懐っこすぎて
はっきり言って苦手なタイプ
…だったハズなんだって。



《お前…二宮だっけ?》

《そーゆーあなたは大野さんでしょ?》

《…おう》

《本当にダンス上手いんですね!》



嬉しそうに微笑むと
目の前にしゃがんで
足首を撫でてきた。



《なっ…いいよ、んなことしなくて!!!》

《だって痛いんじゃないんですか?》

《そ…そりゃ痛ぇけど……》



撫でりゃ治る
なんてガキの考えだろ。


いいっつってんのに
優しく撫で続けるお前を
何故か止めることが出来ない。

むしろその手が
なんか温かく感じてきて…



不思議な感覚を覚えた。



《じゃあ俺が魔法をかけてあげます》

《魔法…?》

《うん。俺もよく母ちゃんにやってもらうんだけど…痛み吹っ飛ぶかんね!》



うつむいたまま
くしゃっと笑う二宮。


そしてお前は
でっけぇ声でこう言った。



《痛いの、痛いの、飛んでいけぇ〜!》



その時はバカにして
鼻で笑ったおいらだったけど。

後で気づいたんだ。





そうなんだって。

ちょうどこのときだよ。



おいらは違う魔法に
かかったんだ。




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