ヴェスペリア
□俺は…
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キラリと光る髪の毛を見たのが最後だった。
『あー…』
『…どうしたんだい?』
『ちょっとな。
昔のこと思い出しただけだ。』
風呂から上がり、髪を拭いている最中に突然フラッシュバックした記憶。
『珍しいね?君から昔の話を持ち出してくると思わなかったな。』
『うっせ。』
偶々だっての。と、呟いた後、何故この瞬間にこの記憶が出てきたのかが不思議で仕方なかった。
すっかり忘れてたのにな。
『昔のことです?』
近くにいた、お馴染みパーティメンバーがこちらを目を輝かせて見ていた。
『どんな話なの?』
カロルが目を輝かせて呟く。
『なんでもい『あら?駄目よ。皆何の話か気になっているんだもの。』
『ここまで話したんだから白状したら?』
ジュディスに加え、リタまでもが興味津々でこちらを見ていた。
レイヴンはニヤニヤ笑っている。
『…白状した方がユーリのためだと思うよ?』
しばしの沈黙の後に、ユーリは重い口を開いた。
『……俺の初恋の相手だよ。どうでも良い話だ。聞いても面白くねぇぞ。』
なんだ…という反応を待っていたのだが、その考えは180度違っていた。
『…続きを聞かせてもらってもいいかい?』
その言葉を発したのは、フレンだった。どうやら彼も知らない話らしい。
回りの皆も首を大きく振って、こちらを凝視する。
『はいはい。…俺の初恋は10歳の頃。帝国の騎士だ。』
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