徒然に書き連ねたる日記
□その胸のぬくもり
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夜の闇が薄らぎ、もうすぐ日が昇る頃、京の一角にある寂れた邸に、二人の姿があった。
二人がいる邸は少し前から無人となっているようで、多少の木々の傷みは見られるものの、まだそう荒れ果てた様子はない。
邸には早速とばかりに雑鬼達が住みついたが、夜になると彼らはそそくさと邸から離れていく。
それは何故かと問われれば、彼らは口々にこう言うだろう。
『馬に蹴られたくない』と―――。
あるいは、こう言うのかもしれない。
『焼き殺されたくない』と―――。
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