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□高みの見物ってね
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執着心がない?

いえいえ

信頼してるんだよVv




《高みの見物ってね》




顔真っ赤、あれって確か隣のクラスの子だよね、可愛いって噂の
へぇ、大人しそうなのに結構勇気あるんだな


――まっ、勇気より覚悟を持って臨んだ方が良いと思うけど


聞こえない程度にクスリと笑った


今、オレは裏庭の木の上で告白現場に出くわしている
話し声が聞こえたから下を見てみれば案の定

別に出ていきにくいって訳じゃない、オレだって告白現場にいてもなんとも思わなくなった

よくここに昼寝に来るけど、こういったことに出くわすのはもう指では数え切れない
まぁ、鑑賞するのは楽しいよ、良識からしてみれば良いものではないけどね



笑いを必死で堪えていると、下からすすり泣く声が聞こえてきた

あぁ泣いちゃった
アイツも、もうちょっと歯に衣着せろよな


その子を泣かしたであろう男の方を見る
泣かしたにも関わらず顔は至って無表情、てか鬱陶しそうにしてる

すると


パチンッ


裏庭に肌が弾かれる音が響き渡った


うわぁ、痛そ……赤くなってるじゃん
ビンタするって…うん、オレの中のあの子の好感度上がったかも
生徒会長にビンタできる女子ってブルーだけだったからなぁ、勇者だね
幼馴染みの特権ってやつ、ヤダねそんな特権


でも、あいつ傷つけたから、やっぱりムカつく
実戦であの子と当たらないかなぁ





そしたら一瞬で潰してやるのに



そんなことを考えていると女の子は男に背を向けた

あっ、走っていっちゃった。おぉ結構速い
てか、あいつ本当に表情変えないよなぁ、無表情?そこもカッコイイけど
もう一度女の子の方を見れば既に背中は見えなくなっていた



「高みの見物か」


あっ気づいてたか
オレは足をぶら下げて木に体を任せながら下の男に笑って見せた


「そんな悪趣味なことしませんよぉだ」

「どうだか」


やれやれと言うようにため息を吐かれた
少しムカつく。オレもさっきの子のように一発殴ってやろうかと思った
オレは男の頬を見る
未だに赤みは引いていない


「ぷぷっ、赤くなってる。イケメンが台無しだな」

「そんな所も見てたのか」


わざとらしく笑ってみせたら不快そうな顔された
まぁ、あまり見られて気持ち良いものじゃないよね


「昼寝してたらお前らが勝手に始めたんだろ」


口角を上げて見下ろせば男の眉間に皺がよる
これだけしかめっ面してもカッコイイ男ってそういないよね


「今日はこれで何人目?」

「お前いつからそこにいたんだ」


さぁね、って悪戯っぽく笑って見せた
そんな反応を予想していたのかそいつは小さく息を吐いてオレが登っている木に背を預けた
すると下の方から聞き慣れたビリッと紙を裂く音が聞こえてくる


「読んであげれば良いのに」

「……本音は?」

「ざまぁみろ」

「だろうな」


簡単に細かくなって読むことが出来なくなったそれを、さっきの子はどんな思いで書いたんだろう


「さっきの子の気持ちを尊重してあげたんだよ」


あの子のために、と上面では優しいことを言っているかもしれないが、オレの口元は酷くつり上がっているのが自分でもわかる
頑張って手紙を書いているさっきの子の姿が容易に浮かび上がり、それが不様で滑稽だと心の中で笑っていた

本当に性格悪いなぁって自分でも思うよ、自覚済みなだけマシでしょ


アイツが自覚あるかはしらないけどね


下を見れば赤くなった頬に指を当てている姿
オレは自分の乗っている枝に手をかけ、ぶら下がるように降りた
高さはそれなりにあるけど慣れれば簡単だ
地面に無事着地すればそいつの目の前に立つ
正面からだと赤くなっているのが先程よりはっきりわかる


「ムカつくなぁ」

「珍しいな、お前がそんなこと言うなんて」


だってと言って頬を膨らませる
仕草が幼稚すぎるかもしれないけど、然程問題ないだろう、どうせここにいるのはオレ達だけだし


「オレのってわかっていながら、オレからお前を盗ろうとして、揚げ句の果てせっかくのイケメン顔を叩いていったんだぜ」

「俺は物じゃないぞ」

「でも、オレのだろ?」


首を傾げて聞いてやれば、まぁなと言って髪を撫でてくれる
その顔はさっきまでのしかめっ面ではなく、ふわりと柔らかい笑顔
うん、やっぱりこの顔が一番好きだ
オレにだけ見せてくれる顔だもんな

オレはニコッと笑って赤くなった頬に自分の唇を当てる
一瞬キョトンとしたこいつの顔はかなりレアだろう


「今日はずいぶん甘えてくるな」

「あれっ、オレからのプレゼントも嬉しくない」

「まさか」


そう言って、オレの額に唇を落とした
へへっとつい口元が緩んでしまう


「嫉妬……でもしたか?」

「して欲しい?」


ちょっとした悪戯だ、なんとなくからかってみたくなった
黙ってるってことは肯定かな?


「当たり前だろ、嫉妬したよ」


そう言って、ギュッと抱きつく
そうすれば受け入れてくれるように抱き締め返された
それば幸せで仕方ない


「俺はお前にしか興味ないし、離れる気も離す気も毛頭ない。」

「うん、オレも」


腕の力を込めて、こいつがここにいるのを確認する
程好い体温が落ち着く



レッド



名前を呼ばれる
その声は、静かな裏庭に透き通るように響き渡った気がする


――お前は俺のだろ?


オレがさっき聞いた言葉をその口から紡がれる

答えなんて決まってる

自分の唇を目の前にいる男の唇に重ねて、オレはこう呟いた



「もちろん。オレは一生グリーンのものだよ」



オレはグリーンの腕の中で顔をうめる
視界の隅に映る、地面に零れるように落ちる手紙の断片を見つめる
さっきとは違う柔らかい笑みを浮かべながら、瞳を閉じた



――ざまぁみろ



オレからグリーンを盗ろうとするから
何も知らないまま、浮かれていれば良い

どんなことをしたって、グリーンは誰のところにもいかないよ

だって、オレが一生グリーンを離さないから


「レッド愛してる、絶対離さない」

「うん、オレもグリーン愛してる」


これは自信があるんじゃない、確定してること
オレもグリーンを絶対離さない


さぁて

オレの大切な人に傷をつけたんだ

代償は払ってもらうよ


どんな風につぶしてやろうか



幸せを噛み締めた頭の隅で、その幸せに不釣り合いな考えを持ったのは


無意識なことだった




END


黒いヤンデレッド恐い!!!勝てる気しねぇぇぇ
と言いつつ、グリーンサイドで書いても同じような内容になりますねw
私はグリレに何を望んでいるんだろう

いつものレッドさんなら「可哀想に、プッw」くらいなんですがグリーンさん叩いたから怒っちゃいました
ちなみにレッドさんを怒らせた又は傷つけた人はもれなく生徒会全体からの逆襲がついてきます

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