Short

□腕に包まれ夢に落ちる
1ページ/1ページ

いつも過ごしてる、この一分一秒が大好きで

過ぎてしまうのがもったいなくて

でも時間はすぐに過ぎてしまう
だから、その時間は君と一緒に


《腕に包まれ夢に落ちる》



「…レッド」

「何?」


静かに名前を呼べば、いつも通り返事が返ってくる
いつものように笑顔を向けてこちらを見ているレッドに俺は眉間に力が入る


「どうした」

「何が?」


不思議そうに首を傾げる仕草は俺達の年齢には不似合いな気がするがレッドだとそう思わない
むしろ可愛く見える
そこら辺の媚を売ってくる煩い女達よりしっくりくるのが不思議だ

そんなことは一先ず置いておく
俺はさっきからレッドに違和感を感じている
一見いつも通り俺の仕事を後ろのベッドに座って待っているようだが、なにかいつもと違う

「寝不足か?」

「そんなことないよ」


そう聞いてみれば、苦笑いしながら答えた
だが、俺の中ではそれが違和感の答えな気がした


「眠そうだぞ」


周りに聞けば「どこが?」と言われるだろう
確かに俺の目の前に座っている奴は真っ昼間のような顔をしている
ようするに寝不足だと思えないということだ

俺だってあと少しで見落としそうになったのだ

だが、俺の一声でレッドの笑顔が崩れた


「……そんなに顔に出てた?」

やはり、そうだったのか
笑顔が崩れたと思えばあとは一目瞭然、俺は溜め息を一つ吐いた
明らかにレッドの赤い目は虚ろで、瞼は重たそうに揺れていた

「いや、気づいたのは俺だけだろう。少なくてもブルー達は気づいていなかった」


さっきまで、ブルー、ゴールド、シルバー、クリスといったメンバーが押し寄せてきた
シルバーとクリスに至っては無理矢理連れてこられたのだろう、申し訳なさそうにしていた
そんなことで先程までレッドがそいつらをもてなすために料理やら準備してくれた
ちなみにレッドには台所を好きに使うように伝えてある

もしも、それ以前にレッドに疲れが溜まっていたのなら、かなり苦労をかけたに違いない
眠くても仕方ないだろう


俺はもう一度「眠いのか」と尋ねれば


「ん〜、ちょっと。…バレないようにしたんだけどなぁ」

「お前は嘘が上手いからめんどくさい」

「誉めてる?」

「そう聞こえたか?」

「ん〜ん、貶されてる」

「だろうな」


レッドは嘘が上手いというか演技がうまい、下手すればブルーよりも
だから見破るのは困難だ


「ごめん」


再び溜め息を吐けば、しょんぼりと謝罪をしてきた
反省しているならそれで良い、反省しているならな


「まぁ眠いなら寝ろ」

「やだ…」

「はぁ?」


レッドは目を擦りながらそう告げた
眠たいなら眠れば良い、何をそんなに拒否する


「だって寝たら仕事してるグリーンに失礼だし、折角一緒にいるのに…もったい…ない」


そろそろ限界なのか、それでも起きていようとするレッド
ここまで来ると睡魔はかなりらしい
最後の方は半分消えかけていた

自分を思って我慢するのはレッドの優しさからだろう
しかし時にはそれも厄介な時もある、例えば今現在だ

嘘つきで優しくて、厄介な奴に惚れてしまったものだ

俺は持っていたペンを机の上に置いて椅子から立ち上がった
トロンと眠たそうな目をしたレッドは不思議そうに立ち上がり少し上にある俺の顔を見上げてきた

そんなレッドの肩を軽く押してやると勢いに従って素直にベッドに埋もれるように倒れた
俺もレッドの隣に腰を下ろす
二人分の体重でベッドのスプリングがギシリと音をたてる


「だから寝たくないんだって……」


少しむくれながらレッドは言ったが、俺はその言葉を無視してレッドの頭を撫でる
質の良い黒い髪は俺の指に絡まる事なくこぼれていく

人間は他者に頭を触れられると気持ち良いらしい
俺はあまり経験が無いためよくわからないが
レッドの睡魔が大きくなっていることから本当らしい

一通り撫でてやってから、俺もレッドの横に倒れ込む
狭い気もしなくもないが、直接レッドの体温が伝わってくる事で俺にも睡魔が襲ってきた


「仕事はあと少しで終わる、俺も寝るから迷惑にならないだろう。それに一緒にいたいなら明日いくらでも付き合ってやる」


いつもより至近距離のせいかレッドは顔を赤らめながら俺の胸に顔を埋めた

少ししてから聞こえてきたのは規則正しい寝息
それを聞いて俺はレッドの体を抱き寄せた
細い体は俺の腕の中にスッポリとはまってしまう


「おやすみ」


聞こえたかわからないが耳元で囁いた
そのまま、深い眠りに落ちた


この温もりは絶対放さない
ここにあるのは


たった一つの温もりと



たった一つの幸せ





END


何でこいつらはよく寝るのにイチャコラしないんだ
てか今書いてる短編全部誰かが寝てる
ネタが無いのが一目瞭然乙!

まぁレッドさんが嘘が上手ってのが出せたから満足です
もう少しグリーンさんがイケメンになって欲しい
そして裏が書けるようになりたい私
妄想の準備は出来てます、理性が邪魔してきます
どうしよう←

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ