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□雨が降る屋上で
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雨によって濡れた群青色の髪
さらりと落ちる綺麗な髪が見ているのも触れるのも好きだった

不動はその好きな髪を思いっきり自分の方へ引っ張る
風丸は突然の事で声を出さず顔を歪めた
そして、そのまま不動の胸の中に顔を埋める形になる


「・・・っ///」

「お前、温かいな」


腕の中に感じる温もりをもっと感じたくて、不動は腕に力を込める
最初は苦しそうに顔を歪めていた風丸も観念したかのように体重を不動にかけた


「・・・風邪ひいても知らないぞ」

「俺、頭良いからマジでひくかも」

「本当にムカつくな」


不動に抑えつけられている顔を横にずらして唇を尖らせながら風丸は言った
その姿が妙に可愛いと思ったが不動はその言葉を飲み込む
可愛いと思えば、本気で離れて行ってしまうような気がしたから


「否定はしないんだな」

「否定できないからだ!マジでムカつく!!」

「風邪ひいてぶっ倒れた時は看病しろよな」

「絶対ヤダ!!!こんな所にいるお前がいけないんだろ!その時は自業自得だ!!!自分で治せ!!!」


舌べらをベッと出してまるで幼い子供のように風丸はすねてそっぽを向く
そんな風丸の髪ゴムをゆっくりと解く
中学生のころより伸びた髪がハラリと流れ落ちた
いつ見ても、綺麗だと思う


「風丸クン、もう、俺と同じくらい濡れてるな」

「お前がそうさせたんだろ」

「だったら、俺を突き飛ばしてとっとと中に入ればいいことだろ?」


そう言うと、風丸は黙り込んでしまった
少し弄り過ぎたかと不動は風丸の様子を窺う
中学生のころよりかは言葉に自重するようになったとは思っている(左程変わっていないが)

すると、ゆっくり風丸が口を開いた


「心配なんだよ。不動が」

「は?」


想像していなかった言葉が返ってきた


「なんか、不動が雨に流されていなくなっちゃうような気がしたから・・・」


不動より身長の小さい風丸は腰に腕を回してしがみついてきた
そこら辺の女よりずっと華麗だと思う
だけど・・・


「ぷっ・・・ハハハ!」

「わっ笑うなよ///悪かったな、変なこと言って!!!」


不動が笑ったせいで風丸は顔を真っ赤にさせてどんどん縮こまって言った
まさか、風丸がこんな可愛いことを言ってくるとは思っていなかった

不動に顔上げろと言われて、躊躇いつつも顔を上に向けた風丸の唇に何かが当たった
何が当たったかなんてすぐにわかること
一瞬の事、不動の整った顔がゆっくり離れていく


「・・・・・・っ///!!!」


驚きと恥ずかしさで風丸は両手で口元を覆い隠す
その様子をまた不動がケラケラと笑っていた


「お前が心配すんなら、そろそろ戻るか。お前が風邪ひくかもしんねえからな」


そう言いながら不動は未だ半放心状態の風丸の手を握って校舎に連れ込んでいった
そこで風丸の頭が覚醒する

「(あれっ?不動の手って・・・

















  こんな温かかったっけ?







  そう言えば、さっき触れてきた不動の唇・・・すごく熱かった気がする)」




この時、風丸は気づいていなかった

前を歩く不動の顔が朱色に染まっていたことを










抱きしめているだけで、どんどん熱くなっていくアイツの体温が酷く愛しくて
ずっと、このままで居たいと思ったけど

俺が居なくなることを本気で悲しい顔で心配していたアイツを見ていたら
無性に雨の中が嫌になった

俺の事をこんなに思ってくれている奴が今まででいただろうか
こんなに自分の感情を揺るがせるような奴が、今まででいただろうか

こんなに俺を



熱くさせた奴がつないでいる手の先にある


雨に打たれた屋上で
冷え切っていた体が少しずつ温もりを蘇らせて
触れあうことで相手の温もりを感じるのがこんなに愛しいことだということを知らせてくれた奴が俺のすぐそばにいる







END


不風がこの頃楽しくて仕方がないです
高校生パロにきゅんきゅん///

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