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□雨が降る屋上で
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先程より雨が強くなっている
それにもかかわらず不動はカバンをその場に放り投げて屋上へと足を進めた
制服に雨がしみこむ
少しずつ重くなっていく制服も気にせず、不動は鉛色の空を見上げる
「(なんか、気持ちいいかも・・・)」
中学の時より伸びた神から雫が伝って頬をぬらす
不動は床に寝そべり目を閉じた
冷たい雨が少しずつ体を冷やしていく
「(このまま全部流れたりしねえかなぁ)」
静かにそう思っていると、頭の上の扉が開く音が聞こえてきた
不動は待っていたかのように体を起こす
「おそかったじゃねえか」
そう、口元を吊り上げて後ろを振り向く
そこには腕を組み仁王立ちをしながらこちらを睨みつけている
先程脳内に思い浮かべていた群青色の髪をなびかせた彼立っていた
こちらも中学生のころより髪が伸び、ポニーテールにしていた髪は下でまとめている
高校生になって可愛い顔は健在のまま綺麗といった表現が合うような顔立ちをした彼
しかし、その顔は恐ろしく周りのものを震え上がらせてしまうのではないかと思うほど
これに怖がらないのは今進行形で彼の前で陽気に笑っている不動くらいだろう
「オレの目の前で堂々と授業をサボるとはいい度胸じゃないか、不動」
顔は笑っている
しかし、その後ろからはどす黒いオーラといったものが見えてくる
「そう言うお前だってサボってんじゃねえか。なぁ、風丸クン?」
「オレは学級委員長なんだよ!!先生にお前を連れて来いって言われたんだ!!!」
風丸は手を腰に当てて不動に怒鳴りつけた
「あんな授業つまらねえだけだしさ」
「あぁ、そうだな。学年トップのお前にはつまらないだろうな。オレはそのつまらない授業に速く戻りたいからとっとと立て!」
そう言って風丸が屋上に出てきて不動の腕をつかむ
「お前、そこまで言うほど成績悪くねえじゃん」
「不動に言われるとムカつく。ほら、びしょ濡れで・・・風邪ひくぞ?」
どこまでもオカン属性だなと思いながら風丸が持っていたタオルを頭にかぶせられた
「風丸クンだって、濡れてるぜ?」
「お前の方が濡れてるだろ、それにこんなに体が冷えてる」
自分が濡れるのも構わず、風丸は不動を雨から遮ろうとしていた
だが、不動にはそれが不服だった
風丸が濡れるのが許せなかった
いや、風丸だけ濡れているという状況が気に喰わなかった
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