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□雨が降る屋上で
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特に何もすることが無く
理解しきっている授業は左から右に流れる
窓から見える外の景色は
良いとは言えない鉛色をしていた
≪雨が降る屋上で≫
机に頬杖をつきながら黒板を眺める
全部全部
なんでこんな簡単なことやらねえといけないんだと不動は思いながら、次は隣で答えている奴の顔を見る
問題がわからないのかあたふたしている
ほんと、バッカみてぇ
不動はつまらなそうに欠伸をすれば、それを前で立っている教師に見つかり注意される
昔よりかはだいぶ大人しくなった方だと思うが、それでも不動にとってその言葉にカチント来た
左耳に付けているイヤホンを取り机の隣に掛けてあるカバンを手に取る
そして、その場に立てばクラスの全員の視線が一か所に集まった
そんな奴らをあざ笑うかのようににやりと口元を歪めて
「簡単すぎてつまんないんで帰らせてもらいまーす」
不動の後ろからは教師の静止の声が聞こえる
しかし、不動はそれに聞く耳を持たずに廊下を歩いて行く
しかし、教室を出てきたも不動にはとくにやることはない
「どうすっかな・・・?」
廊下の窓から外を見る
鉛の空からは雫が落ちてきていた
「チッ、降ってきやがったか」
傘を持っていないわけではないが、どうも自宅に帰る気もしない
したいわけでもなく、することがない
それが次第に不動にとって中に靄がかかるようになった
他のクラスから離れたところ
少し暗がりなところに不動は壁に背中を預けて座り込んだ
何も考えずにこのように座っていると、頭に思い浮かべるのは群青色の髪の彼
自分とは真逆の様な性格をしているようだけど、だからこそ話すことができない恋人
教室を出てくる時、同じクラスの彼に最後にアイコンタクトしてきた
気づいたか気づいていないかは別として
イライラしている中で彼を見るだけで少し心が落ち着く
不動は一つ深くため息をついた後、その場に立ち上がってある場所に向かった
薄暗い階段を上がって、重い扉を開く先
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