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□ここから始まる太陽と風
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あれは、まだ円堂と風丸が小学生の時
クラス替えから間もなく、まだクラスメイトになれない頃だ

まだ慣れないクラス
今回初めて一緒のクラスになる奴もいれば5年連続で同じという奇跡的な奴もいる
何人もの者が新しいクラスに喜んだ


その一人が円堂だった


「(アイツと同じクラス初めてだ・・・だれか、サッカーやらねえかな)」


考えは今とほぼ変わっていなかったが

そんな円堂の目の前を慣れない色が通り過ぎた
黒や茶色は見慣れた色
だが、その色は他の物にも溶け切れていない群青色の髪
瞳の色も赤褐色より鮮やかな赤色
まるでその者の部分だけ切り取ってはりつけたように、自分とは違うものを感じた

だけど、同時に近づきにくいイメージも持つ
なんだか冷たく、怖いような目つきをしていたから


「(可愛い子だな〜、あんな子いたんだ・・・でも、何か近づきにくい)」


円堂が感じたように他のものも同じことを思ったらしく、その子に近づくものはいなかった
そして、その子の半径5m以内には誰も人が居なかった



HRの時間
それぞれが自己紹介を始める

「円堂守だ!!よろしくな!!!」







「・・・風丸一郎太です。よろしくおねがいします」


その子の自己紹介が終わると一部がざわついた
始めてその子と同じクラスになる者はその子が女だと思っていたのだろう
あまり容姿以外は目立つことのないそいつの事を知らないやつが何人もいた



だが、風丸は容姿について何度もいじめに遭っていた
・・・と言っても所詮は小学生の虐め、虐めと言うよりちょっかいを出す程度


「や〜い、女顔」


教室に入ってきた風丸に向ける第一声がそれだった
女子はやめなよと止める
しかし、男子はそれに聞く耳を持たない

見ていた円堂も止めようと口を開いた瞬間だ








ドゴッ







教室に鈍い音が響き渡る
沈黙が広がった後、ぼそりと一言が呟かれた


「死ね」


そう呟いたのは今さっき教室に入ってきた風丸だ
風丸は自分を茶化した男子に近づく

しかし、誤るわけでもなく近くに落ちているランドセルを拾い上げる
風丸のランドセルだ

そう、先程の鈍い音は風丸が男子に向かってランドセルを投げつけ、それが直撃した音だった
その後、教室には風丸のランドセルが直撃した男子の泣き声がキンキンと響いた

何事かとすぐに教師が駆け付けた
近くにいた女子が先生に事情を話す

そして、怒りの矛先は自分の席で本を呼んでいる風丸に向けられたのだ




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