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□本当の貴方が見たいだけ
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さっきの鬼道の言葉の所為でなかなか集中できない
今まで引き出しの中に整理整頓されていたものが全てバラバラになってしまった


「(全然わかんなくなっちゃった・・・)」


さっきまではあとほんの少しの所まで行っていたのに、それさえどうやったのか頭にない
問題が解けないもやもやがいつの間にかいらだちに変わっていた


「・・・」

「・・・風丸」


自分の名前が呼ばれたと思ったら鬼道の手が自分の肩を掴み引き寄せられた
今まで以上に近い距離


「・・・ッ///」

「お前、ここの代入間違ってるぞ」


そう言って指差された場所を見てみれば確かにそうだ
風丸は目を丸くした


「あぁぁぁ!!!」

「これで課題終わりだな」


それからはスラスラと解けた
解き方は間違っていなかった、ほんの小さなミス以外は


「やったあ〜Vv」


一羽は両腕を命いっぱい振り上げる
今までのもやもやが一気に晴れた


「あっ、でも教えないでって言ったのに」

「お前の事だから、これ以上は無理だと判断したからだ」


鬼道は人差し指をたてて一羽の眉間に押し当てた


「お前が不機嫌になると眉間にしわが寄って無口になるからな」


全てを見透かされてしまったようだ
よく見ている・・・というか観察している


「・・・良く知ってるね」

「いつも傍にいるからな」


すると鬼道が一羽を抱き寄せ、一羽は鬼道の腕の中に埋もれる形になった
最初は恥ずかしくて足掻く一羽だが、男の力に勝てるわけが無く呆気なく散る
大人しく腕の中に埋もれていた


「お前が勉強していると暇だからな、まさかここまで掛かるとは予想外だった」

「どうせ、私は鬼道ほど頭はよくないですよ〜だ」


鬼道は学年で成績1位を争うほどの実力(同じく1位争いをするのは不動)
きっとすでに課題は終わっているのだろう
一羽は軌道に向けて下をベッと出した

そんな一羽に慣れているように鬼道は彼女の頭を優しくなでる


「今日はどうする、時間は遅いが・・・なんなら泊っていくか?」


時計の針を見れば短針はすでに9時後半を指していた
いつもだったら7時ごろには帰っていた、だが今日は一羽の課題が苦戦しこのような時間


「鬼道のお家の人が迷惑だよ。私は歩いて帰るから大丈夫」


そう言って立ち上がろうとしたが腕を掴まれ、引っ張られ、鬼道に覆いかぶさるような形になった
一羽の目の前には鬼道の顔が、その前にこの体勢で一羽の頭は一瞬真っ白になった


「きっききききききっどど///」


すると、視界が反転、今度は鬼道が一羽に覆いかぶさるような形に
それでも顔は近い


「オレの女を暗い中に歩かせるのは許可できないな、帰ると言うなら鬼道家からボディーガードを付けるか車で送っていく、オレが一緒について行っても良い」


どの選択をしても、鬼道家にお世話になるしかない
鬼道は少しずつ一羽を追い込む
もちろん、鬼道が望んでいる答えはたった一つ


「とっ泊らせていただきます」

「よろしい」


一羽が鬼道家に泊まることが決まるとすぐに鬼道は一羽の上からどいた
心臓が未だにバクバク鳴っている、やはり鬼道には勝てなかった





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