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□「理解」と「諦め」はイコールですか
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私には大好きな人がいます

小さいころからずっと一緒でした

この気持ちに気づいたのはつい最近


気づいたからこそ、虚しくて苦しいんです




≪「理解」と「諦め」はイコールですか≫





長い廊下を駆けだしてある一室を目指した
廊下にはそんなバタバタした足音が響き渡る

その一室の前まで来ると私は扉を勢いよく横に引いてこう叫んだ


「いっちばーーん!!!」


見渡せばその部屋には誰もいない
部屋というより教室

一番乗りということに嬉しくて頬がゆるんだ

だけど、そんな時間もすぐに終わりを告げる


「残念、二番乗りだよ」


そう言いながら誰かが私の肩に手を置いた
すごく綺麗で透き通った声

振り向けば私と同じくらいの身長の女の子


「一羽!!おはよっ」

「おはよう、護」


そう言ってふわりと笑みを浮かべた一羽
すごく可愛い

でも、私には一つの不満がある


「ねえ、二番乗りってどういうこと〜。一羽、私より後から教室に入ったじゃん」


私が口を尖らせてそう言うと一羽は笑ってある一か所を指差した
人差し指の先には一つの机
あそこは一羽の場所
そこには一つのカバンが机の上に置かれていた


「私、手を洗いに行ってたの。だから、護が来る少し前にはもう学校にいたよ」


机に置かれているカバンが証拠
えーーっと文句を言えば残念と再びその言葉が返ってきた


「せっかく、今日は早く来たのにな〜。今日こそ一羽に勝ってやろうと思ったのに」

「でも、偉いね。護がこんなに早いなんて、今日の体育雨で体育館かも。私傘持ってきてない!!?」

「酷いっ!私だってちゃんと起きるよ」


確かにいつも遅刻すれすれ(っていうか遅刻している)
それで何度も先生に怒られたりしている

そんな私が早起きするのは珍しいかもしれないけど、そこまで言わなくてもいいと思う


「冗談だよ。冗談」


あやすように私の頭に手を乗せて軽くなでる

またふんわりとやわらかい笑顔

なんだか、今まで怒っていたのが嘘のように消えていった




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