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□夏休みの甘い夜
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嵐というのは突然やってくるという・・・
今まさにオレの目の前に台風の目が近づいてきている
なのに、オレはまだそれに気づいてなかった
≪夏休みの甘い夜≫
練習を終えて汗だくの体を白いタオルで拭いた
夏休みだというのにこうやって学校に来てはいつものようにサッカーをしている
円堂が提案してきたことだけど、文句を言う奴は・・・いるか。
1年生は夏休みぐらい遊ばせて欲しいとぼやいていた
円堂も夏休み最後に宿題手伝ってと言っても絶対手伝ってやるものか
たまに練習するのも大切だけど、こうも毎日やると本当に夏休みって感じがしないな・・・
1年の気持ちもわかる気がする。今度円堂に相談してみよう
「風丸さーん!!!」
遠くからオレの名前を呼ぶ声が聞こえてきた
赤い眼鏡を上にしてこちらに向けて手を大きく振っている音無の姿が見えた
「どうしたんだ、音無?」
「実は風丸さんにお話がありまして」
話?なにかあったっけ
その後ろから木野もやってきた、何故だか二人とも無駄に楽しいそうというか、オレからしてみれば嫌な予感しかしてこない
嫌な予感って・・・結構当たるって誰かがいってたような気がする
「今夜、この辺でお祭りがあるの知ってますよね?」
「祭り・・・あぁ!」
毎年、地域でやっている夏祭りだ
もちろんオレも小さい時から何度も行っている。もう、そんな時期なんだと浸っているとマネージャーの二人が攻め寄ってきた
「そこで・・・これっVv」
突き出してきたのは女物の浴衣
きっと二人が着ればとても似合うであろう可愛らしいものだった
だが、オレはどんどん青ざめていく
「あっあのさ、それが・・・どうした?」
「風丸くんに!」
「来てもらいたいと思います!!!」
嫌な予感って本当に現実になるんだな・・・
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