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□だから気になる空色・海色
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「立向居・・・」


そこにいたのは1年生にして期待のGKである立向居だ
そんな立向居が心配そうに俺を窺ってきた


「風丸さんのこと・・・あまり思い詰めないでください」

「えっ?」


少し図星を突かれた気分だ
立向居の言葉に『風丸』という言葉が出てきて心臓がどきっと鳴った


「あの人は戸惑ってるだけなんです!綱海さんの優しさに、DEのことがあったのに普通に接してくる綱海さんに。オレがそうだったように」


立向居はまるで風丸の気持ちがわかるかのような口ぶりでそう答えた

俺の・・・優しさ?


「風丸さんも優しい人です!それと同時に誰よりもチームのことを考える人なんです。だから今もきっと思い詰めています、だから・・・」


立向居の最後の方の言葉を聞こえなかった
なんて言っていいのかわからないんだろうな
でも、なんとなく伝わってきた、オレにどうしてほしいのか


「ありがとな、俺もなんか考えがまとまってきたぜ!」

「はいっ///」


俺が立向居の頭をクシャッとなでてやればまるで子犬のように満面の笑顔を向けてきた
本当に良い後輩をもったとこっちも嬉しくなる

立向居と別れた後、俺はまっすぐにあいつの所に向かった
俺があいつの曇りを晴らしてやることができるなら、本当のあいつを見ることができるなら
俺ができることをしてやりたい







「オレは綱海さんが喜んでくれるなら・・・たとえこれが片思いでも、それが綱海さんのためなら協力させてください…」



ときどき、あなたがにくくなりますよ
誰よりも優しくて、誰にも優しい

だから、オレはあなたのことが好きなんですけどね…
気づいてくれなくても、気づかせてみせますからね
どれだけ、時間が経っても。あなたにもしも、好きな人ができたとしても、オレの気持ちだけでも


「気づいてください、綱海さん」



あなたがあの空色の人のことが気になっていても…



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