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□悪魔の囁き
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どんなに頑張ってもこれ以上は速くはならない
オレはもう、走れない


『オレは円堂みたいに強くはないんだ』


そう言って、オレはキャラバンを降りた
こんなオレをアイツはどうみるだろうか


会いたい、会いたいよ豪炎寺
(こんな弱いオレを見ないで)

もう一度、呼んでその声で
(お前に会う資格なんてないんだ)

何も、思い出したくないんだ
(力が欲しい、お前の隣に立っていられるだけの)

どうすれば、こんな気持ちから解放されるんだろう
(弱いオレはいらない)

そうか、強くなればいいんだ
(強くなくてはならないんだ)


だから、
(だから、)






力がいるんだ






『力は欲しくないかい?』








それは悪魔の囁きだった




紫色の石

オレは目の前に持ってかれたそれを見つめた
不思議とそれに惹きつけられた

これを持てば、エイリア学園の奴らみたいに強大な力を手にいられる?
その石から伝わってくる大きなエネルギーに全身鳥肌が立った

これを手に入れれば、強くなれるんだ
やっと豪炎寺の隣に居られるんだ

豪炎寺みたいに強くなれる
ちがう、豪炎寺より強くなれる

もう誰にも負けない
オレ達はアイツらより強い

もう、円堂なんかより強い
豪炎寺より強い

弱いころのオレはもういない






もう、誰にも負けない
みんなにも

オレ達を捨てて行ったアイツらにも



「修也、オレはもう誰にも負けないよ、エイリア学園の奴らにも。お前にも」


だから、サッカーやろうよ



強さを求めた、そして、どこかで間違えた
だけど、オレ達は




その過ちさえも強さのためならどうでもいいんだ





END
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