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□雨の日だけの特権
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シトシトと、落ちる度にその場にはじける水の玉
灰色の空から落ちてくるそれが嫌いだった

だって、好きなことができなくなるから





≪雨の日だけの特権≫





天気予報もドンピシャ
歩いていると頬に何か冷たい物が落ちてきた

それから少しずつその量を回数を増やしていく

朝から雨というのは本当だったらしい
円堂は持っていた傘を開いて自分の上にかざした
本当は持っていくつもりはなかった
しかし、母親に無理やり持たされたのだ

傘を持っていない人たちが自分のカバンを上にあげ円堂の横を駆けていく
そんな姿を遠目で見ていた


「傘もってて良かった〜、こんなにすぐに降ってくるとはな」


母親に感謝しながら時間があるわけでもないのに円堂はゆっくりその足を進めた


「今日は部活無理かな〜、これだから雨は嫌なんだよ。あぁ〜もう、さっさと止めぇ!!!」


返事が返ってくるわけでもなく円堂は空に思いっきり叫んだ
だが、その願いに反するかのように雨は今までより勢いを強めた
それに腹がたったのか円堂はふてくされながらその場で地団駄を踏んだ

すると、いきなり後ろから誰かに頭を叩かれた
いきなりのことで、目を丸くしながら後ろを振り返った

濡れているけど円堂の傘と同じ水色の髪
そんな幼馴染がいた


「お前はまた遅刻する気か?ってか、こんなところで何怒ってるんだよ」


そんな風に呆れながらこちらを見ていた


「風丸!?なんでお前、俺より後ろに居んの?」


いつもなら、遅刻なんて絶対しない
なのに風丸は遅刻すれすれの円堂の後ろからきた


「寝坊したんだよ、それより遅刻するぞ!キャプテンが部活遅れてどうするんだよ」

「えっ!風丸が寝坊・・・だから雨?」


なんでそうなるんだよ、と再び頭を小突かれた
円堂は今までのふてくされた顔はなくいつの間にか笑顔になっていた



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