Short

□ハロ・ハロー
1ページ/1ページ


カーテンの隙間から朝日が差し、枕に埋もれている顔に降り注ぐ
その刺激にゆっくり瞼を広げれば、見慣れた鷲色の髪

どうしてここにいるのだろうと考えていたら、その翡翠の瞳と深紅の瞳が交わった




≪ハロ・ハロー≫




覚醒しきれてない頭で考えても目の前の人がここにいる理由がわかるわけもない
ぼーっと目の前の人を見ていると起きたことに気付いたのかふにゃりと笑ってきた


「おはよう、レッド」

「・・・おはよう」


挨拶を返したら柔らかく微笑まれレッドの頭を優しくなでる
そろそろ聞いてもいいだろうか


「ここで何してるの、緑さん」

「あっ、バレタ?」


レッドは目の前の青年をジト目で見る
青年は苦笑いしながらベッドから降りた
何故人の布団の中に入ってきているのだ

緑と呼ばれる青年はお隣の家の長男で、レッドの家の長男と付き合っている
兄の部屋は隣ですよ、と言ったがそんなの何年も行き慣れてるんだからわかってると返ってきた


「じゃあなんでここにいるの、ハッキリ言って迷惑なんだけど、人の寝顔見るとか趣味が悪いよ」

「寝起きだからだよな、俺嫌われてるわけじゃないよな、寝起きだからそんなに機嫌が悪いんだよな」


もちろん嫌いなわけがない
小さい頃からお世話になっている、もう一人の兄のような存在なのだから
問題なのはタイミングなのだ
寝起きで自分の恋人の顔に似ている偽物が近くにいて、それがわかれば殴りたくなるだろう


「それにしても、よく俺がグリーンじゃないってわかるよなぁ、違いに気づけるの家族を抜けばお前と赤くらいだぜ?」

「えぇ、そんなの一目見ればわかるって、全然違うんだから。その前にグリーンはこんな時間に起きない」


もそもそと体を起してそういえば緑は納得したような顔をしながらレッドのベッドに腰を下ろした
低血圧なのかなかなか起きてこない弟を思い描いたのだろう
ようやく覚醒してきた頭でそう思いながらレッドは目をこする


「それで、こんな朝っぱらからなにしてるの」


問題はそこだ
何を考えて恋人の弟の部屋に意図的に入ってきているのだ
しかも布団の中に潜入してるし


「ん〜、そんなのきまってるだろぉ?」


そう聞こえると同時に、視界が反転する
頭には柔らかい枕の感触
そして目の前には緑
その後ろには自室の天井が見えていた

覚醒していた頭では自分が押し倒されてるとすぐに認識できた


「可愛い弟を襲いに」

「冗談も大概にしろよ、黒歴史」


本当にお前は口悪いな、と苦笑いを浮かべる緑だが退く様子はない
今日は一体どういった風の吹きまわしなのだろうとレッドはため息をついた
すると、緑の長い指がレッドの頬に触れる


「少しくらいムードってものを楽しもうとは思わないわけ?」

「朝から盛ってるお兄さんにムードを感じろと?」


そういうのは兄に求めろと言えば、なかなかかまってくれないとまるで子供のような言い訳をしてきた
なるほど、自分は暇つぶしか

随分と男として最悪なことを言ってると思う
まぁ、これが初めてではないのだ
小さかったころは危ないところまでいってる
その時は緑が酒を飲んでつぶれた時だが、わざわざこちらに来る理由もわからなくもないがやはり最悪な理由だ
レッドの推測だと、兄である赤に無理やりなことをしないために無意識に標的を変えたのだろう

だからと言ってこちらにはたいへん迷惑な話だ


「緑さん、重い。毎度言うけど、いい加減にしろ」

「そういうなって」


緑はそのままレッドの頬に口づけを落とす


ぷつん


静かな部屋に、何か糸が切れるような音が響き渡った


「止めろって言ったのに、来ちゃったよ」


だが、その音は被害者であるレッドのものでひゃない
当の本人は冷静な愛で自室の扉の方を見た


「・・・緑、レッドに何してるの」


そこには仁王立ちしながら緑のほうを睨みつけている兄の姿
いつもは穏やかで、どこかのんびりした雰囲気の兄だが、今は阿修羅が背後に見えるような、そんな険しい雰囲気
いつもの柔らかい声音はどこえやら、聞いただけで震えあがるような低い声が鼓膜をゆする


「兄さんおはよ、緑さんどかしてくんね?」


という前に赤はレッドに覆いかぶさっている緑の襟首をつかみひきはがす
その時、緑はきょとんとしたように目を丸くしていた


「おぉ、赤じゃん。おはよ」

「うん、おはよう、それでここでまた何してるの」

「ここ?って、うぉ!!レッド」

「おはよぉ、緑さん」


とぼけるような態度
しかし、これが素なのだ
何が言いたいかって、どうしてこうなったかというと


「緑さん、また寝ぼけてたよ」

「ゲッ、マジで!?」


そう、血を争えないのか緑はただ寝ぼけていたのだ
弟なんかよりも太刀が悪い
普段はこんなことがないのだが、たまに


「また性懲りもなく僕のレッドに・・・」

「タンマタンマ!!不可抗力だって!!!なっ、レッドもなんか言ってやってくれよ!!」

「オレ被害者だし」


すると、階段の方から誰かが昇ってくる音が聞こえる
これがレッドの弟たちだったらどれだけ楽だっただろう
しかし、距離があるというのに感じられる殺気
近づくにつれて背筋を伝う冷や汗
彼が来たのだとわかった


「兄さん・・・ここで何してる」

「グッ・・・グリーン、今日は随分と早いお目覚めで」


背後から憤怒の炎が見えるような、いつもしかめっ面をしている顔がさらに恐ろしいものになっている
レッドはそんな彼にのんきに手を振ってあいさつをする
逆に緑は顔を青くしている


「赤さん、ご迷惑をおかけしました。この馬鹿はこちらで回収させていただきます」


いつもはこんなかたい敬語使わないのに、逆に怖い
緑と赤とグリーンが騒いでいる(?)隙にベッドから出て着替える


「もうこんなこと困るんだけど」

「赤さんが良いなら朝方は部屋にしばりつけるくらい」

「おいっ、ちょっと待て!!!」

「「お前に発言権など無い」」


流石に可愛そうに思えてきた
本人は寝ぼけていて、そして無意識なのだ


「もう、これが初めてなわけでもないんだから許してあげたら?」

「レッド!!」


泣きそうな顔をしている緑、それと対象に赤とグリーンはありえないものを見るかのような目で見てきた


「レッド、これはレッドのことなんだよ?今回は僕が早く来たからいいものの、またあんなことがあったら」

「その時は緑さんを殴ってでも止めればいいんじゃないの?」

「お前は危機感がないんだ!!!!」


耳にタコができるくらい聞いた言葉だ
もう一度言おう、これが初めてではないのだ
この説教も今日が初めてなわけではない


「もとはと言えば、兄さんがそんな性癖なのがいけないんだ!!!」

「そうだよ!僕の可愛いレッドを毎回標的にしてなんなわけ」

「だから、わざとじゃないんだって」


わざとであってたまるか
そんなことを思いながらレッドは喧嘩している三人を背にカーテンを開いて一言


「今日も平和だなぁ」





「なぁファイア兄ちゃん。なんか二階うるさくね?」

「いつものことでしょ、僕はもう少し寝るから時間になったら起してよ」


今日も一日が始まりました




END


まず一言、緑さんごめん。めちゃくちゃ不憫
なんかエロイ雰囲気を出そうとした結果がこれだよ
あんまりグリレ、緑赤っぽくないですね
少しずつ兄弟パロ増やしていきたいです

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ