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□我が儘一つプレゼント
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いつも聞いてもらってばかりで
いつもお願い事を叶えてもらってばかりだから
今度はこっちが叶えてあげる番だよね
≪我が儘一つプレゼント≫
カーテンから零れた日差しが直接閉じた瞼に降り注ぎ刺激する
瞼をゆっくり開けば自分の家のものではないが見慣れた天井が視界いっぱいに広がる
朝が来たのか、とわかるのはいつものことですぐに理解できた
上半身を起こしてみても未だに頭がボーっとしているようで一点の所を意味無く見ていた
「あっ、起きた!」
部屋に一人しかいないと思っていたが、ちょうどグリーンの隣から心地よい声音が聞こえてきた
そちらの方を見てみれば黒髪が少し湿って頬を上気させていた、風呂上がりだろう
グリーンが起きたのに気付いたらニパッと花が咲くような笑顔を向けて微笑んだ
外に輝く太陽より、眩しく温かく感じて、こちらもつられて微笑むのがわかった
すると、ポフっと後ろから抱きつかれた
背中に伝わる体温が酷く安心してまた眠気に襲われそうになる
「おはよう、グリーン」
「あぁ、おはようレッド」
時計を見ていれば短針が丁度“9”を指していた
自分にしては早い時間だと思う、いつもだったら昼になっているなど普通だからだ
時間が経つにつれて頭がどんどん冴えていく(ちなみにレッドへの挨拶は寝惚けていても言えるらしい)
すると、昨日のことを思い出した
丁度9時間前の事だ
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文字を書き終えて机の上にペンを転がした
時計を見れば12時前、今日中に終えれたことを軽く自分の中で拍手する
と言っても、既に外は明かりもなく寝静まっている時刻
外からは夜行性の虫ポケモンや鳥ポケモンの鳴き声が聞こえてくる
自分もそろそろ休もうか、と思ったが今から家に帰るのもどこかだるい
あまり疲れが取れないがそれぞれのジムに用意されている仮眠室でもいくか
そう立ち上がると同時に窓ガラスを軽くコンコンと叩く音が聞こえた
こんな時間になんだと思った、しかも窓から
グリーンがそちらの方を向きカーテンを開く
すると、そこには見覚えのある、そしてずいぶんと姿を見せなかった愛しい人がいて目を見開く
『レッド!!?』
『よっ、グリーン。こんばんは』
窓を開けてやればそこからレッドは部屋に入る、もちろん事前に靴は脱いでいる
今までプテラに肩を掴まれて飛んでいたため部屋に入ってからモンスターボールの中にプテラを納めてありがとうと呟いた
こいつもそうだが、もう一人の幼馴染といい
何故こいつらは玄関を使わないんだと呆れたようにため息をついた
『どうした、こんな真夜中に下山して来て』
『ん〜、会いたくなったから?』
ニコッとレッドが笑うのが少し照れくさくて視線をそらした
だけど、そんなの違うにきまっている。はぁ〜とグリーンは再びため息をついてレッドを抱きしめる
『おかえり』
『ん、ただいま』
嬉しそうにふにゃりと笑うレッドが可愛くてその額に唇を落とした
『で、本当にどうしたんだ』
『だから会いたくて『正直に言わないと・・・』すみません、ちゃんと言います』
観念したようにう〜、と唸りながら少し言いにくそうにしている
じれったい
『何なんだ一体』
『ちょっと待って!!』
グリーンの前に一筋指を立てられてそれ以上何かを言わせないようにした
何が待てなのか全く分からない
レッドの視線の先には時計がある、もう少しで一日が終わろうとしている
5.4.3.2.1・・・
『グリーン!!』
急に呼ばれてレッドの方を向けば唇にやわらかい物が当たった
何かなんてすぐにわかる、レッドの整った顔がすぐちかくにあるのだから
それからどれだけ時間が経ったかわからない、レッドからというのはあまりなくしかも突然のことで頭がそこまでついてきていなかったのだ
唇が離れて行ったと思ったらグリーンの目の前には真っ赤な顔をしたレッドが目を泳がせていた
レッドからというのは嬉しいが、そんな後から恥ずかしくなるならやるなよと思った
フッと目が合うと恥ずかしそうにしているがヘヘッと笑った顔が可愛くて、頬が緩む
『誕生日おめでとう、グリーン』
『誕生日?』
デスクに置いてある小さなカレンダーに目をやる
さっきまで11月21日、つまり今日は11月22日。そう、グリーンの誕生日なのだ
日付感覚が全くないグリーンは初めて気づいたような顔をしているのを見てレッドは呆れたとぼやいた
『忘れてた?』
『あぁ』
『やっぱり』
クスクスと笑うレッドに、笑うなとその額を小突いた
『オレが下山してきたのは、一番最初にグリーンの誕生日祝いたかったからだよ』
『・・・ありがとう』
すると、同時にポケギアに連絡がどんどんと入っていく
もう一人の幼馴染や、後輩たち
その連絡の中に【明日はバースデーパーティーやるからレッドの家に集合ね】というものがあった
レッドの方を見てみればにこりと笑っている
『休みだろ、ジム?』
『・・・何故知っている』
『ん〜、情報網?』
なるほど、アイツか。とグリーンの頭の片隅からは先程の連絡を入れてきたもう一人の幼馴染の女の顔が浮かんだ
だからさ、とレッドがグリーンに抱きついて身長差の所為か上目づかいをしながら顔を見上げてきた
普通の男だったら殺傷力は計り知れない
耐えて入れるのはグリーンだからこそだ(グリーンも危ういが)
『どうせ、今日ここで寝ようとしてたんだろ?』
クスクスと笑うレッド。考えていることなどすぐにわかる
レッドが来て、一緒に寒いジムで寝かせるわけにはいかない
『お前の家に行っていいか?』
『もちろん!!』
そして冒頭に戻る
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「疲れてるんだろ?まだ寝てていんだぞ」
「いや、折角お前が帰ってきているんだ。一緒にいたい」
すると、レッドは少し頬を染めて視線をそらした
どうした、と聞けば「無自覚怖い」と訳のわからないことを呟かれた
未だに少し赤くしているレッドを膝の上に乗せてその肩に自らの顔を埋める
久しぶりに甘えてくる恋人に嬉しくなってレッドもグリーンの後ろ髪を優しく梳いた
「良い香りがする」
「風呂入ってきたから」
「レッドの匂いだ、落ち着く」
長く離れていた恋人の香りが体を満たしていくのが心地よくて離したくない衝動に駆られる
それはレッドも同じようで背中に腕を回してその力を強める
「あっ!!」
「『あっ』?」
突然、何かを思い出したかのように立ち上がってレッドはどこかに行ってしまった
グリーンはその背中をじっと見ていたらすぐに戻ってくる、何かを取ってきたようだ
再びグリーンの膝の上に乗ったレッドはニコニコと笑いながらグリーンの前に一つの長細い箱を出した
「プレゼント!!」
「・・・開けていいか?」
うん、と頷いたのを確認して丁寧に包装を解いていく
そして中から出てきたのは一つのネックレスだった
しかも緑色の美しい石がついたもの
「それが目に入った瞬間『これだ!!』って思ったんだよね、グリーンの色だろ?」
おそろい!と言ってレッドの首に掛かっているのは同じデザインだが、こちらは赤い石を付けている
まるで目の前にいる奴の瞳の色のようだとグリーンは思った
「本当はさ、グリーンもうネックレス付けてるからどうしようか迷ったんだけど、博士にもらったのと一緒に付けてもらえれたら、嬉しいなぁ・・・なんて」
そう言ってくにつれてレッドは顔を俯けていく、少し不安だったのだろう、いらないと言われたくなくて
だが、グリーンは優しく微笑んで
「ありがとう、レッド」
その言葉を聞いてまたレッドはパッと明るい笑みを浮かべた
この笑顔が見れただけで充分なプレゼントだと思ったが、今日は自分の誕生日だ、少しくらい強欲になっても良いだろう
「レッド、もし良かったらお前の付けているのとこれを交換してくれないか?」
「これと?別にいいけど」
確認を取るとグリーンはレッドの首に手をかけ丁寧にネックレスのホックを外し、自分の持っているものを代わりに付けてやる
同じようにレッドもグリーンにつける
どうしたの?と聞いてみれば、見せつけるように指に絡めて
「お前の色」
口角を上げてニヤッとグリーンが笑うのを見た瞬間、レッドは顔を赤くしながらその胸の中にヘナヘナと埋まる
「・・・この、イケメンがぁ〜///」
「でも、これでお前が傍にいるみたいだろ?」
どっかの誰かさんはすぐにどこかに行くからな、と皮肉交じりで言ってみれば、ごめんなさいと胸の中で呟いたのが聞こえた
少しは反省したと見て質の良い黒髪をなでる
「お前にもいつも俺が傍にいる、そのネックレスみたいにな」
「・・・うん」
顔をグリーンの胸の中に埋めているから見ることはできないが、嬉しそうに笑っているのはなんとなく予想できた
グリーンも愛しそうにその腕の中の存在を確かめるように抱きしめる
「レッド、もう一つ欲しい物があるんだが」
「何?」
見上げるレッドの頬に手を添えてその反対側に唇を落とす
くすぐったそうに、でもやはり嬉しそうにクスクスと笑った
「とうぶん俺もジムが休みだ、だからお前の時間が欲しい、少しの間は俺から離れるな」
最初はキョトンとしているようだったが、その意味がわかるとふわりと笑った
「いいよ、とうぶんは旅に出ない。いつもオレの我が儘ばかり聞いてもらっちゃってるんだ、今日は何でもグリーンの我が儘聞いてあげる」
「お前の我が儘聞いた覚えがないんだがな」
これでも我が儘ばかり言ってる気がするんだけどな、なんて苦笑いするレッドに、グリーンはもう少し素直になって欲しいと思う
でも、この我が儘だけはきっとレッドは聞かないと思う
だから今日は自分の我が儘を聞いてもらうと同時にお互い甘える時間を作ろうと思った
「グリーン」
「ん?」
――生まれてきてくれて、ありがと
――キミに出会えて本当に良かった
優しく微笑んで、そう紡ぐ言葉
最高の祝い言葉だな、とグリーンも自然と微笑んでいた
抱きしめあった時、カツンと音を響かせてお互いの首から垂れている石が混ざり合う
まるで二人のように
その瞳は石に負けないほどにキラキラと輝いていた
さて、折角もらったプレゼント。どうやってこいつと過ごそうかな
どんなふうにしても、この腕の中にいる存在とだったら幸せなんだろうなと実感しながら、今の幸せを噛み締めた
さぁ、パーティーの準備しなきゃな
そう言って立ち上がったレッドにお前は準備するなと釘を刺された
仕方ないからグリーンは料理の準備をし始めたレッドの後ろ姿をじっと見ていた
きっと、これから来る幼馴染や後輩たちも祝ってくれるんだろうな
だけど、きっとどんな祝いの言葉も、どんなプレゼントも
赤い瞳のあいつにもらったプレゼント―幸せ―以上のものは無いだろう
レッドが準備している背後で、彼に見えないように
グリーンは胸元で揺れる赤い石に唇を落とした
とても愛しい物を見るような緑色の瞳で
その瞳は、愛しい人の胸元で輝いている緑色に似ていて
その石を愛しそうに見つめる赤い瞳にグリーンは気づかない
離れていても、近くにいても「おれ」が「キミ」の傍にいるよ
END
ただイチャコラしてるだけのパカップルな意味わからない文章
だけど、愛だけは大量に詰め込みました
これからもレッド先輩と末永くお幸せに
グリーン先輩Happy Birthday!!!!!!!!!!!!