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□甘く痺れる金縛り
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屋上は風が吹いてて気持ち良い、それに眺めも良い
だから、オレは結構好きだ

何かあった時はいつも屋上にいたっけ
空を見ていると、悩んでたのが馬鹿みたいに思うから
だって、そうだろ?
こんな広い空を見たら自分の悩みなんて本当にちっぽけなことなんだって思う

下を見れば、どこかのクラスが体育だろう。サッカーをしている
円堂が見れば、きっと混ぜてほしいなんて言うんだろう
壁山たちがいる。1年生か・・・


すると、後ろから屋上の扉が開く鈍い音が聞こえた
誰かが入ってきたのだろう
後ろを振り返れば、白い髪を上に逆立てている男が立っていた


「なんだよ、豪炎寺。今は授業中だろ?」

「その言葉、そのまま返してやるよ」


確かになと言ってオレは苦笑いしながら豪炎寺に近づいた
こんなナリでも、真面目なこいつが授業をサボるなんて思っていなかった


「お前がここに来るのを見かけたからな、一時間くらいサボっても問題ないだろう」


そう言いながら、豪炎寺の指がオレの髪を一束つまんだ
豪炎寺はよくオレの髪に触る


「お前、好きだよな。オレの髪で遊ぶの」

「触り心地が良いからな」


すると、豪炎寺はふわりと笑った
その笑みに不意に心臓がトクンと高鳴ったのがわかる
オレはたまに見せる豪炎寺のやわらかい笑みに弱い
そう思うと、恥ずかしくなってきてオレは少しずつ俯いていった


「お前がサボるなんて珍しいな」


豪炎寺はそんな俺の覗き込みながら聞いてきた
あまりの顔の近さに驚いて少し後ずさりをしてしまった
変な風に思われてなければいいけど・・・


「なっなんとなく、気分が乗らなかったから・・・次の時間も出ようか迷ってる」


赤い顔を必死で隠す、隠し切れていないのはわかっているけどまともに豪炎寺の顔が見られない


「風丸がサボるなら俺もサボる」

「えっ!?でも、オレに付き合ってどうすんだよ!」


あまりに突然の発言にオレは豪炎寺の方を見た
すると、豪炎寺の掌がオレの頬に添えられる
顔がそらせない状態になった

豪炎寺の顔がすぐそこにある
オレの心拍数がどんどん上がって行くのがわかった
心臓が破裂するんじゃないかってくらい鳴っている


「せっかくなら、風丸と二人っきりになりたい。だめか?イチ」


『イチ』というのは二人っきりの時だけ使う、俺の名前
二人っきりの時だけ許される呼び方


「・・・別に修也となら」


そういえば、豪炎寺の整った顔が近づいてくる
オレは瞳を閉じて待った

しばらくして、オレの唇にやわらかい物が当たる
何かなんてすぐにわかる

深いそれはとても長く感じた
口の中に侵入する舌に自分の舌をからませる

呼吸がうまくできない、息の仕方なんてまだわからない
どんどん、頭がボーっとしてくるのがいつも
それは今回も

口から離された時には体に力が入らなくて、必死で酸素を求めていた


「修也の馬鹿、動けないし///」

「慣れる必要があるな」


悪戯したように笑う彼の笑顔
その笑顔にさえ顔に熱がこもる

それからもずっと、体中がほてるように暑くて足に力が入らず立ち上がることもできなかった
これは次の時間もサボり決定だな



でも、修也とだったら・・・



甘く痺れる金縛り




その後、豪炎寺に喰われて本格的に立てなくなると嬉しいVv

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