Give&Get

□結局甘い自分がいる
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お前の気持ち、わからなくもないよ

明るくて、可愛くて、傍に居たい筈なのにできなくて

辛いの解ってるから、ほっとけない




《結局甘い自分がいる》




「ヒロト」

「なぁに、風丸君?」


やっぱり何でもないと答えれば、変な風丸君と返ってきた
その代わり、後ろから回されている腕の力が強くなる

今、ヒロトの部屋のベッドの上で後ろから抱き締められている状況
ヒロトの体温がダイレクトに伝わってくる


「飽きないのか?」

「風丸君暖かいね」


話が噛み合ってないし、この宇宙人め
そうボソリと呟いたら至近距離のせいか、本当に宇宙人のせいか後ろに聞こえたらしく


「宇宙人じゃないよ」

「ひゃっ///」


そう言って首筋に舌を這わせてきた
もちろん見えていない風丸にとって突然の事で、無駄に色気を持った声が漏れた


「風丸君、色っぽいVv」

「うっ、五月蝿い///」


顔を赤くしながら反論してみるが逆にクスクスと笑われてしまった
これ以上反論しても馬鹿にされるだけだと思い、口を尖らせながらそっぽを向く


「なんか、こうしてると緑川思い出すなぁ」


そう風丸の髪を弄りながら言った
たまに首に掛かる髪がくすぐったい


「そう言いながら、手紙送ってるんだろ?」

「もちろん」


ヒロトはへへっとはにかんで笑って見せた
正直可愛いと思ったがそれを声には出さない


「そんな細々してたら気づいてもらえないぞ」

「う〜ん、超鈍感な風丸君に言われると本当にそうな気がしてくるよ」


どういう意味だ、と風丸が自分の肘を後ろのヒロトの腹めがけて度突いた
後ろから鈍い音が聞こえたが受け流す

そう、ヒロトは緑川に淡い恋心を抱いている
それに風丸が気づいたのは約1ヶ月前
と、言いつつ実はヒロトが風丸に相談してきた時に初めて気づいたのだが


「ダイレクトに電話とかは?」


そう言ってみれば悩んでいるような声が聞こえてきた


「確かにそれでも良いんだけど、やっぱり電話となると何を話して良いのかわからなくなっちゃうんだよね」

「意外と小心者だな」


少し刺を含んだ言い方をしたら腕の力を強めてきつく抱き締めてきた
軽く苦しい、だけど


「今の状況、変じゃないか?」

「何が?」


何がって、全部だよ
ヒロトは緑川が好きな筈なのに、今抱き締めてるのは風丸
好きな人がいるのにスキンシップにしては少し違う


「浮気?」

「付き合ってさえないのに?」

ヒロトが苦笑いをしているのは見なくてもわかる
でも、おかしい
ヒロトが好きなのは緑川であって風丸ではない
好きでもない者にここまでのスキンシップなどありえるのだろうか


「やっぱりヒロトは宇宙人な」

「またその話?」


今度はヒロトが不服そうに口を尖らせた
それが可笑しくて、つい笑いが口から漏れてしまう


「そういうところ、緑川に似てるね」


その言葉に風丸はキョトンと目を少し見開いた


「どの辺が?」

「う〜ん、雰囲気?」


どうやらヒロトもよくわかっていないらしい
随分答えが大雑把だ


「髪のせいじゃないか」


風丸も緑川も髪が長いから
しかし返ってくる言葉はどうも納得していないようなものばかり


「オレは緑川ほど明るくないし、可愛くもないぞ」

「えぇ〜、風丸君も充分明るいし可愛いよ」


そう言って、ヒロトは風丸の首に自信の唇を添える
びっくりして少し肩が跳ね上がった


「緑川と重ねてる?」


今、遠くにいる彼と自分を重ねているのだろうか
後ろを振り返れば風丸の赤い目と、ヒロトの緑の目が混ざり合う


「……バレた?」


困ったような顔をしながらヒロトがそういうが、何故か納得できない
最初の間は何なのか、どうしてそんなに困ったような顔をするのか
風丸はそれを知る術を知らない


利用されてるって言うんだよな、こういうの

好きな人が遠くにいるから、似ている人を好きな人に置き換えて一緒にいるなんてよくある話だ
利用されてる人は怒るべきなのだろうか
でも、怒る気がしない自分は変なのだろうか

好きな人が遠くにいるのは悲しいことだし、自分がそれを取り除いてやれるなら喜ばしいことだと思う
所詮は自分の自己満足とおせっかいなのだけど


「どうしたの、風丸君?」


ヒロトが覗き込んできた
心配してくれているのかな?
そう、思うとクスリっと笑ってしまった


「いや、ヒロトは優しいなって思って」

「はぁ?」


ヒロトの驚いている顔を見たら一気に笑いが込み上げてくる


「ハハハッ!!!変な顔」

「変な顔って…それに俺は優しくなんか」

「優しいよ、もしも緑川と付き合ったら幸せにしてあげれるぜ、絶対」


そこまで言うと廊下から誰かが風丸の名前を呼んでいる
大方、円堂だろう

じゃあなと言って風丸が部屋から退室したため、その部屋にはヒロトだけが残された
ヒロトはため息を吐きながら壁に背中を預ける


「俺が優しいか」


ヒロトは約1ヶ月前くらいの事を思い出していた
風丸に相談した日だ







『えっ、ヒロトは緑川の事好きだったのか!!!』


驚いている様子からやっぱり気づいていなかったみたいだった
でも、相談には真剣に聞いてくれて、やっぱり風丸君に聞いて良かったと思った


『もっと早く言ってくれれば…』


きっと協力してくれたんだよね、でもその時期は既にチームには緑川はいなかった
やっぱり風丸君は優しいや


『でも、応援してるからな!!オレに出来ることがあったら何でもない言ってくれ!』


そう言って笑いかけてくれた風丸君の顔が頭から離れなくなった
おかしいな、俺は緑川が好きな筈なのに


『もしかして、緑川と重ねてる?』


さっきの言葉にドキッてなった

風丸君が言ったように最初は緑川と重ねていたんだと思う
だけど触れあっていくにつれて風丸君の傍にいるのがすごく安心して
もっと知りたいと思うようになった


もちろん今でも緑川への気持ちは変わらない
手紙を送るときだって、いつも緊張して熱くなる
今すぐにでも会いに行きたいって思ってる


緑川と一緒にいれなくて寂しくて風丸君に甘えてた
だけど……



『ヒロトは優しいな』



あの時の笑顔が傍にあれば何でもできる気がする
抱きしめる温度を放したくなかった
その声でもっと自分の名前を呼んでほしい

どこかで風丸君を独占したいって思ってる



「やっぱり俺は優しくないよ、風丸君」




だって、どちらか決まってないくせに君に甘えてるんだから
もう自覚してるよ



「俺、二人とも好きなんだ」


まだ、どちらかを選ぶのは俺には無理そうだ
俺が緑川と重ねてしまっていることを風丸君が怒ってくれればハッキリするのに


「一番優しいのは君だよ」


また君が好きになってしまう
君はまだ俺に優しくしてくれる?
だとしたら、決断のその時まで


「もう少し甘えさせて」


きっとその頃には、俺のベクトルは愛してる人の方へ向いてるから



END


おう…よくわからない文章はいつもの事だが、病み上がりリハビリ中に書いてしまいグチャグチャですね

一応風+緑←ヒロなんですが
相談にのってもらっている内に
風←ヒロ→緑になってしまったみたいな
リクエストに反してますね、ご免なさい
微妙に微裏に行きそうになり焦る管理人です
風丸君はヒロトの部屋に行って抱きつかれるのは日常になってたら良いなって妄想でした

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