Give&Get

□オレにはキミだけ
1ページ/1ページ

信じたい、信じたい

君の事が大好きだから、ずっと傍に居たいから

でもあの日、自分の中の何かが

切れる音がした




《オレにはキミだけ》




見てしまった

大好きな人が可愛い女の子(幼馴染みの彼女よりは下だけど)と一緒にいるところを
彼がモテるのは知っている、だけどやっぱり気になって隠れて見ていたら

互いの唇を合わしていた

ほんの一部始終だきっと違う
彼がこんな事をする筈がない

だけど、心臓が激しく鳴って、血が急激に下がって、背中に冷たい汗が伝う

居たくない……ここに居たくない!!

気づけば駆け出していた
いつもより足が重い気がするけど、そんな事気にしていれなかった
あそこから兎に角逃げ出したい


最初から全力疾走だったためにすぐに息が上がって、走るペースも落ちた
そう思った瞬間だ


「レッド!!!」


腕が掴まれ、それ以上足を進めることが出来なかった
振り返れば自分と同じように息を上げている先程の彼の姿


「グリーン…」


今、会いたくなかったよ
どうして追ってきたの
さっきのは何だったの

頭がぐちゃぐちゃして整頓する前に現れてしまったグリーンのせいで、さらに混乱する


「レッド、今のは違うんだ」


頭の中の何かが切れた気がした

「違うって?何が違うんだよ!!!オレが見たやつ全部違うって言うのかよ!!!」


グリーンが何か言おうてしてる
だけど、ごめんね。それを聞いてあげれる程、余裕なんて無いんだ


「隠れてあの子と会って、キスだってしてた!!オレが嫌になったなら言えよ!!堂々とあの子に会いに行けば良いだろ!!!」


まるで女のようなヒステリックだと、どこか冷静さが残っている頭の中で思った
そう言った瞬間、グリーンは目を細めた


「それは…本気で言っているのか」


あまりにも低く重たい声に、レッドは肩を跳ね上げた
この声は初めて聞いたわけじゃない、だけど自分に向けられるのは初めてだ


「俺の話も聞かないで勝手に解釈するな、迷惑だ」


迷惑、その言葉が突き刺さる
グリーンはちゃんとレッドが納得する理由を持っている筈だ
だが、今のレッドにはそれを聞き入る余裕など無い
それを奪ってしまったのだ


「……ごめん、少し一人にさせて欲しい。頭冷やさせてくれ」

今にも折れてしまいそうな声だった
ゆっくり歩き出すレッドを止める言葉をグリーンは持ち合わせていない……



・・・


あれから数日が経った
あの日からレッドは外に出ることもなく、一人、部屋のベッドに埋もれていた

頭が麻痺してしまったようで、あれからどれくらいの時間が流れたかわからなくない
ポケモン達が心配していたが答えることなど出来なかった


いつからこんなにグリーンに依存してたんだろう
何もやる気がしないや
もしも、グリーンが離れて行っちゃったら、どうなるんだろう
やだな、離れていってほしくないな
一人がこんなに辛いなんて思ったこと無い


すると、玄関のドアを叩く音が聞こえた
ブルーが来たのかと思った
彼女はいつもふざけたような性格だが、誰よりも仲間を心配してくれる
既に何回かレッドの家を訪れている

今日も来たのだろうかとゆっくり重たい体を起こして玄関に向かった
しかし、その場で足を止めた


「レッド、そこにいるんだろ?」


扉の向こうから聞こえてきた、会いたくて会いたくなかった彼の声
体が硬直した
あと数センチ前にある扉を開ければグリーンがいるのだ


「レッド、開けなくて良い。俺の話を聞いて欲しい」


レッドはドアノブに伸ばされた手を下げて、扉に背を向けて座った


「この前の女とは何にも関係はない、正直に言えば『付き合って欲しい』と言い寄られた」


やはり、あれは告白現場だったのか
レッドは静かにグリーンの話に耳を傾ける


「もちろん断った、そしたらキスをしてくれれば諦めると言ってきた」


それを受け入れたの?
チクリと胸の辺りが傷んだ


「断ろうとした、だがあっちは、断るなら俺の大切なものを傷つけると言った」


その言葉にレッドは驚きを隠せなかった
瞳を大きく開いてる扉越しにグリーンの方を見た


「俺にはお前の顔が浮かんだ、悪いと思った。これはお前を裏切る行為だとわかっていたから」


グリーンは守ろうとしてあんな事を?
そんな事を考えていると締め付けられるように苦しくなった


「だが、最終的にはお前を傷つけてしまった。この事は言い訳だと思ってくれても構わない、すまなかった」


謝ることなんて無い、何も聞かずに勝手に勘違いした自分がいけないんだ
一番謝らなきゃいけないのは自分なんだ


「お前が俺の事を嫌いになっても仕方ないな、すまなかった。レッド、例えお前が俺の事が嫌いになっても……」


俺はお前の事を愛している……


そうして離れていく足音

イヤだ、グリーン!!


「グリーン!!」


届いたかわからないけど、その場で彼の名を叫ぶ
その衝動でか紅蓮の瞳からは涙がホロホロと零れていた


「嫌いになんか…なるわけないだろ。お前も人の話、ちゃんと聞けよ」


声が上手く張れない
でも、再び近寄ってくる足音に安堵した


「オレ、お前の事信じれてるって思ってた、だけど違ったんだ。何もわかってなかった、信じれてなかったんだ」


返事は返ってこない
さっきまでグリーンはこんな風に話してくれてたのだろう
伝わっているのか不安になる、そんな不安を持ちながら話してたんだ


「恐いんだ、グリーンが離れていっちゃうんじゃないかって。オレ男だし、あっちの方が断然可愛いし」


勝ち目なんてある筈がない
もし、そんな事があれば自分は確実に負けて一人になる
それが辛いことなんて、痛いほどわかった


「ごめん、ごめんなさい…グリーン」


謝ることしか出来ない自分が酷く憎い

沈黙が続いた
きっとグリーンは呆れてしまっただろう
また一人なのかな……

すると後ろの扉に何かが持たれるような小さな音が聞こえた
グリーンだろう



今、グリーンはどんな顔してる?
わからない、わからないよ
こんなにグリーンの事知らなかったなんて思ってなかった

この薄い扉の先に彼はいる
なのにとても厚い壁を間にしているようだ

この扉を開けれるほど、レッドは勇気を持っていない


「レッド、最後に1つ、聞いて良いか?」


いつもの彼より声が弱々しく感じた
どこか声が震えていたようにも聞こえた

レッドは見えないくせに首を縦に振り、小さく「うん」と答えた


「レッドは俺の事をどう思っている?」


グリーンの事……そんなの答えは一つ


「好きだよ…大好き、オレにはグリーンしかいないんだ。離れていって欲しくない、ずっと傍にいてよ」


信じれなくてごめんなさい

我が儘でごめんなさい

貴方を好きになってごめんなさい


「一人は恐いんだ」


もう言葉が出てこない
まだたくさん伝えなきゃいけないことがあるのに
声が出せない
代わりに口から出るのは情けない嗚咽


「レッド……俺もお前の傍にいたい、お前が必要なんだ、お前無しでは生きていけない、頼む…傍に居てくれ」


良いのか?こんなオレで?
グリーンにはもっとふさわしい人がきっといるのに


「レッドじゃなきゃいけないんだ」


まるで心が読まれたような返事


「グリーン…!」


出ない声を懸命に振り絞って彼の名前を発した


オレもグリーンじゃなきゃ駄目なんだ
傍に居させて、傍に居て


「レッド、開けるつもりが無いなら扉から少し離れてくれないか?」


何故と思ったが言われた通り少し離れる
しかし、すぐにグリーンが考えている事がわかった(気がする)


「ちょっ、待っ!!?」


制止の声も間に合わず、グリーンは思いっきり扉を蹴り上げ鍵を壊した
開かれる扉の向こう側には翡翠の瞳を輝かせた青年

レッドは何も考えずにグリーンに飛び付いた
それをグリーンは強く抱き締め返す


「ごめん、ごめん…。信じれなくてごめんなさい。大好きだよ、グリーンの傍に居させてよ」

「不安にさせて…辛い思いをさせてすまなかった。愛してる、レッドの傍に居させてくれ」


謝罪と愛の言葉がこもったら抱擁
こんなに暖かいものなんて思ってなかった

グリーンはレッドにとってあれほど分厚い壁をいとも容易く取り除いてしまった


「もう一人にしない、不安にさせない、レッドの傍にいる」

「信じてる、オレもグリーンの傍にずっと居る」





そしてお前の事がもっと知りたい
何を思っているのか、お前の事を信じるために

傍にいるよ
お前が一生不安にならないように
悲しい涙を流させないように


どんどん欲してしまってごめんなさい
そんなお前を全部引っくるめて愛してる

なんだかお前に依存してしまったな
そんなのお互い様だよ

お前以上に魅力的な奴なんて他にいない
以下同文♪



二人は微笑みながらまるで何かを誓うように唇を重ねた


もう離れない、放さない

『オレ』は大切な『キミ』を、その『全て』を愛してる




END



暗い!!?なんなんだこれは
ヤンデレッドですか!?どうしよう、こんな話になる筈じゃなかったのに
甘い話になるはずが……なんということだ!!

あれですよ、最終的に言いたいのは
君に依存しすぎて辛いって話

グリーン視点の話が書きたくなりますね←知らんがな

30000打フリリクありがとうございます
ミツキ様に捧げます

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ