Give&Get

□今ならまだ間に合う!!
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未来からこんにちはの続きっぽいもの



数ヵ月前の愛しのあの子

いつの時代も可愛いね

そうだ、なんなら

連れ帰っちゃおうVvVv



《今ならまだ間に合う!!》


「と言うことで、連れ帰ってきちゃいましたVvVv」

「……」


まず、どこからツッコめば良いのだろうか

1.お前達、今までどこにいたんだよ
2.何でお前らそんなに、にこやかに笑ってるわけ?

3.……お前達に捕まってるそいつは誰だ


「何?オレ死ぬの?」

「やだなぁ、風丸君。彼はドッペルゲンガーじゃなくて、正真正銘、風丸一朗太君だよ」


風丸は口元を引き釣らせながら呑気に説明する吹雪を見る
その腕はガッシリと自分のそっくりさんを捕まえていた

同じ顔だが、来ているユニフォームは雷門の物だ
本当に過去から来たのだろうか


「すごいね!まさに夢の共演だよ!!」


だろうな
まさか過去の自分が現れるなんて誰が予想しただろうか
そして、そろそろその腕を外してやってほしいと、風丸は頭の隅で思っていた


「やっぱりあまり変わらないね、どちらとも可愛いけど」

「お前、シュート技なにか持ってる?」

「えっ、炎の風見鶏なら…」

「風丸君、何聞いてるの!!!」


すると二人が一緒にヒロトの方を向いた
ややこしい


「豪炎寺がいるから、風見鶏をお前らの顔面に」

「えっ!?その為に聞いてきたのか!!?」

「暴力反対だよ!未来丸君!!!」

「誰が未来丸だ」


そう言って、風丸(未来丸)は吹雪の頭にゲンコツをおみまいした
その様子をオロオロしながら見ている風丸(過去丸)の隣にヒロトが避難した


「みっ未来のオレって、暴力的だな…」

「いつもは優しいから勘違いしちゃダメだよ、過去丸君」

「えっ、オレ過去丸なの??」


過去丸は攻撃的な未来の自分を見て、不安になるがヒロトの言葉にホッと息を吐いた
どうやら、自分は将来、やさぐれてはいないらしい
安心したのも束の間、隣からボソリと「あれも本性だけど」という言葉にヒロトの顔を見た


「吹雪、お約束って言葉知ってるか?同じ時代に同じ人間が会ってしまうとどちらかが消えてしまうという」

「言葉は知ってるけど、そんな厨二な設定ないからね!!!!駄目だよ!!闇丸君みたいな厨二になっちゃ駄目だからね!!!!」

「丸丸、紛らわしい。そして、その名前を出すな、顔面に竜巻落としだぞ」

「何で、さっきから顔狙うの!?」

「気のせいだ☆」

「その笑顔、他の時に見たかった!」


満面の笑みで未来丸はボールを片手に吹雪に詰め寄る


「だっ駄目だぞ!暴力は!!!」


そう言って、二人の間に入ってきたのは過去丸だった
同じ自分に止められるとは、何とも滑稽なことだ


「良いか?過去丸」

「えっ、お前もオレの事、過去丸って呼ぶの?」


未来丸は、過去丸の肩を掴んだ
その様子を吹雪とヒロトはワクワクと効果音が聞こえるような表情で見ていた

そして一言


「安心しろ、ボールを相手にぶつけることは、この時代では暴力じゃないから」

「君は何言ってるのぉぉぉぉ!!!??」


まさに期待を裏切られた発言だった
しかも、未来丸の顔はいつもより柔らかく笑っている気がする

「この先、辛いことがたくさんあるけど、ボールをぶつけられる事なんて日常的になるから」

「えっ、何それ、聞きたくなかった」

「聞かなくて良いよ!こんなこと!!未来丸君もいつもの風丸君じゃなくなってるよ!!!!」


未来丸が過去丸を見る
あまりにも真剣そうなので過去丸も少し緊張したように体に力を入れる


「見た所、FFが終わったところを拉致されたと見た。世宇子辛かっただろ?」

「えっ、あっうん…王牙学園だったけど」


慰めてあげるのかな、やっぱり風丸君は優しいね
なんか少しずれてるけど
そう二人は思っていた


「暴力じゃないと感じるのはそれからだぞ」

「「何教えてるのぉぉぉぉぉぉ」」


力説しようとする未来丸を過去丸から剥がした
未来丸はキョトンとした顔をする

駄目だよ、そんな可愛い顔しても
今からが大事なことなんだからみたいな顔止めてぇぇぇ
止めたくなくなるから!!!

ヒロトの内心は必死だった


「何だよ、主な加害者」

「加害者言わないで!!俺、君に何もやってないよ!?」

「黙れぇぇぇぇ」


未来丸のボールがヒロトの鳩尾に入る
吹雪はギリギリのところで、過去丸の目を隠していた


「グッ、それ使うところ違うし、君もれっきとした加害者」

「問答無用だ、このトラウマ製造機、封じてたトラウマを思い出しちゃったじゃないか」

「今、確実に自分の手で蘇らせたよね!?人のせいにしちゃ駄目だよ」


どうやら今日の風丸君(未来丸)はいつもより大人しくはないらしい
吹雪はため息を一つ吐いた
過去丸には何が起こっているか誰も教えてはくれなかった

落ち着いたくらいに未来丸が過去丸の方に歩み寄る
そして再びその肩を掴んだ


「良いか?過去丸」

「あっ、ふりだしに戻った」

「少し言いたいことがある」


また変な事を言うのではないかと、吹雪は気が気ではない


「これから、辛いことがたくさんお前に襲いかかってくる。この事だけは覚えていて欲しい」

未来丸の顔は真剣そのものだった
少し吹雪が安心する


「たとえ変な奴が出てきても、たとえビッチな奴が出てきても、たとえ厨二なやつが出てきても、たとえ二重人格なやつが出てきても」

「未来丸君、なんかピンポイントで僕達のこと言ってない?」

「頼む……闇の皇帝なんて名乗らないでくれ……」

「なんとなく、そう言うと思ってたよ。さりげなく闇歴史を消滅させようとしてるね」


なんか納得してしまった吹雪
いつの間にか半分涙目な未来丸
もちろん、過去丸にとって二人が何を言っているか、わかっていない


「今ならまだ間に合う、オレから闇歴史を消してくれ、超次元に慣れてない、純粋なオレに戻りたい」

「何で、未来のオレってこんなに悩んでるの!?オレの未来何が起こるの!!?」

「あぁ、えっと上手く説明できないや」


そう笑うと、過去丸は肩を震わせながらマジ泣きしそうな未来丸をあやしている
いつの時代の彼もやはりお母さん属性のようだ

カメラを持ってくれば良かったと吹雪は後悔した


「変なおっさんに着いてくな!!皆が付けてるからって紫の石には手を出すな!!そこからお前の人生歪んでいくぞ!!!」

「なんで未来のオレ、そんなに歪んでるの!!?」


なんと説明すれば良いのだろうか
鬱になって、闇堕ちしちゃったテヘペロって言えば良いのだろうか


「そして最後に」

「まだあるの!?」


次はどんな歪んだ事が出てくるのか、過去丸はビクビクしていた
ヒロトと吹雪は呑気に可愛いなぁ、なんて思いながら聞いていたら


「ディフェンス技を大事にしてくれ」

「「(一応、DFなの気にしてた、何この子、可愛い///)」」


名前だけの立場を一応気にしていたらしい
だれよりも責任感があるのは、やっぱり風丸の長所だ

当の未来丸は過去丸に抱きついている
吹雪はカメラを諦めて、その目に焼き付けることにした


「あっあのさ、なんか過去を抹消しようとしてるけど、今はどうなんだ?」

「今?」


未来丸が過去丸を見上げる
そして、少し悩んだ後にフワリと笑った
今日一番の笑顔だと思う


「(オレって、こんな風に笑うんだ///)」


過去丸は目の前で綺麗に笑う未来の自分に不意に顔を赤くした
自分にこんなことを言うとナルシストのように思うから、きっと気のせいだ


「辛いことばかり目立つけど、自信を持って楽しいって言えるよ」


ニッコリと笑ってみせた
その笑顔に吹雪とヒロトも、この笑顔に惚れたんだよね。と、口元を緩ませた


「今は慣れないかもしれないけど、その内、変態の扱いもわかるから」

「それ、俺達の事言ってる?」

その様子を見て、初めて過去丸が笑った
やっぱり少し不安だったようだ


「だからさ、お前も楽しみにしてろよ」

「あぁ!!」


いつの時代もこの笑顔は変わらないようだ
見ていてこちらも嬉しくなるような笑顔を振る舞っている


すると


「二人共ぉぉぉぉぉ(怒)」


空から怒声が降ってきた
それと同時に目の前に一人の少年が現れる


「なんか重いと思ったら、過去から連れてくるなんて前代未聞だよ」

「あは、バレちゃったVv」


悪びれた様子もなく、吹雪は見つかってしまったと笑っていた
見つからないとでも思っていたのだろうか


「じゃあ、過去丸ともお別れだな」

「なんか、未来の自分に会えたなんてまだ信じられねぇ」


エヘヘと過去丸がはにかんだ
お別れも悲しいが仕方ない、彼は過去の自分なんだから


「無理ばかりしちゃ駄目だぞ、未来丸」

「誰が未来丸だ、バーカ」


こつん、と過去丸の額を小突く
自分を心配してくる母親気質は変わらないんだなと、笑いが込み上げてきた


過去丸はカノンとヒロトによって元の時代に帰っていった
ヒロトには「早めに帰ってこい」と言ったから大丈夫だろう


「やっぱりなぁ」

「何が?」


その場に残された吹雪と風丸
吹雪の言葉に風丸が顔を覗き込む


「ん、何かね、最初過去丸君を見たとき今の風丸君と少し違って可愛いなぁって思ったけど」

「けど?」

「やっぱり今の風丸君の方が僕は好きだよVv」


その言葉に風丸は顔を赤くした
今を生きている彼はこんなに可愛いんだもん


過去では、また僕と君が巡り会うんだよね
なんか運命みたいで嬉しいなVv

そしてまた君を好きになるんだ


END

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