Give&Get

□矢印が消える15秒前
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「なぁ豪炎寺、俺、どうしたらいいかなぁ…」
「…さぁな」


俺は頭を抱えた。

この無自覚な野郎をどうしてやろうか、と。今ならファイヤートルネードを風丸にぶちこんでも、文句は言われないはずだ。


風丸は最近、悩んでいるらしい。まぁ言ってしまえば恋、についてなのだが。

「不動を見てるとドキドキするんだ」とか「不動に触られたところがなんか熱く感じて!!」とか「今日不動と話せなかっただけで悲しくなるんだ」とか。不動関係のことで嬉しそうにしたり、悲しそうにしたり。まさに一喜一憂、だ。


で、今日の悩みは「不動が佐久間と一緒にいたりすると…なんかモヤモヤするんだ」だ(俺だってそれでモヤモヤしている)。

それは嫉妬だと言ってしまいたい。だが言ってしまえば風丸の為にならない、と佐久間に禁句にされたので言えない。

口より行動で示す俺は、こういうのはどうしたらいいか分からない。頭をフル回転して何を言おうか悩んでいると、風丸が口を開いた。


「不動って、」
「?」
「佐久間が好き、なのかな…」
「……!!」


きた。ようやくきた。

ここまで来れば「あれ、俺も不動が好きなのかもしれない」と多分なるだろう。


「さぁ、な…。でも風丸には関係ないだろう?不動が誰を好きでも」
「え、…そう、だけど…」
「じゃあ気にしなくていいんじゃないのか?」


そう冷たく言い放し、目を伏せる。これできっと、自覚するはずだろう。

風丸はどんな表情なのか、とゆっくり目を開いて、唖然とした。

風丸の赤茶の目からは、ぽろぽろと涙が零れていた(佐久間に怒られる…)。


「か、ぜま…」
「やだ…」
「、」
「我が儘だ、け、ど、そんなの、や、だ…!!」


嫌だ、と分かったならば。それでもういいだろう。俺も言ったって、佐久間には怒られないはずだ。


「…風丸、」
「お、れ、」
「ん?」
「不動が、好、き、」
「……ああ」


やっと、自覚した。
よかった、と息を吐いた。これで安心、だな。

分かったならば不動の所に行っておいで。と、風丸の背中を押す。風丸は泣きながら頷いて、俺の部屋から出ていった。


するといいタイミングで俺の携帯が鳴り出した。メールらしい。

メールを開いてみると、相手は佐久間で。内容を見て無意識に頬が緩んだ。




矢印が消える15秒
(不動も自覚した。そっちに行かせたんだけど、風丸は?)
(「同じく自覚して、そっちに行かせた」っと…)

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