Give&Get

□素直になれなくて
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*風丸、佐久間にょた
*源佐久要素あり
*高校生







騒がしい休み時間のこと。
2人の男女がバタバタと教室を走り回って居た。


「止めろってばぁ!」

「フン!何々…『11月20日、今日は円堂達とサッカーをした』」

「わぁぁ!!読むな!」


何やら少女は恥ずかしそうに顔を赤らめている。
対して少年はニヤニヤと、本の様な物を見て走っている。


一時はこの光景に教室中の生徒全員が視線を集中させたものの、すぐに注目を移した。

どうやら日常茶飯事らしい。
しかしまだ2人の争いは続いている。


「返してよ!!」

「悔しかったら取ってみな!」

「私の日記だってば!」


少年、正式には不動と言う男子が彼女の所有していた筈の日記を高々と上げる。

少女、正式には風丸という名前の女子がぴょんぴょんとその日記を取り返そうと飛ぶ。

だが不動も取られまいと手を動かすので彼より明らかに体格の小さい風丸は取ることは出来なかった。


次第に彼女の瞳が潤んでいく。

「ちょ…っ、止め、って、ってばぁ……」

「へへーン!…って、あぁ?」

不動は自分の手に異変を感じた。
日記が手中に無い。

キョロキョロと周囲を見渡す。


「ほら、風丸」

今にも泣き出しそうな彼女の前に1冊の可愛らしい本の様な物が差し出される。

「私の日記…!源田ぁ…!」

「ほら、だから泣くな」

源田と呼ばれた、不動よりも明らかに大柄な男子生徒はそう言ってニカッと笑う。
それに釣られて彼女も微笑む。


「……っち!」

不動が機嫌悪く教室を出ていく。
余程源田に風丸の日記を取り返されたのが面白くなかったのだろうか。


「不動!…謝ることも出来ないのか」

ハァ、と呆れたように溜め息をつく。
風丸は少し悲しそうに出ていく少年の背中を見つめていた。





やがて授業開始のチャイムが鳴り、
皆が自身の席に座って行った。






「なー、風丸」

「ん?」

くるりと佐久間が後ろを向く。
風丸の席の前は佐久間なのだ。

授業中にも関わらず、風丸に話しかける。
勿論、小声でだが。


「さっきの日記何書いてあんだよー」

「言う訳無いだろー!全く」

「……ってかさ」

「うん?」

ズイ!と佐久間は顔を寄せる。
風丸は少し慄き気味に答える。


「お前、不動のことどう思ってんの?」

「……はぁっ!?」

予想外な質問に面喰ってしまう。
風丸の反応に佐久間はアハハ!と笑っている。


「別に…」

「うっそぉ〜」

「だ、だってさ…」

「何?」

「不動は私のこと嫌いだよ…いっつもいじわるばっかりするし……アイツ、嫌いだ」

「あ〜…ああ」


俯き気味になってきた風丸にバツが悪くなってきたのか、佐久間は前を向く。


「(駄目だ、こりゃ)」

無意識ってのは怖いなぁ。

…さっきから
ずっと不動の席、見てるくせに。



佐久間は教師の目を盗んで携帯を机に忍ばせながらメールを打つ。

宛先は『源田幸次郎』。
佐久間、彼女の彼氏だ。


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なぁ源田!

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意外にも返信は早かった。
彼も同じことを考えて居たのかも知れない。


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何だよ?

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お前も気付いてるだろっ?

風丸と不動のこと〜

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気付かない訳が無いだろ!

あんなに
あからさまなのに。

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だよなぁ〜…

な、源田!
一肌脱がないか?

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お、いいなそれ!

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佐久間は携帯をパチン、と閉じると自分より前に居る源田とアイコンタクトをした。

2人とも、
うっすら笑いながら。




















その日の放課後。


風丸は佐久間に呼び出され、体育館倉庫の前に立ち尽くして居た。

「おーいっ!風丸〜!」

「あ、佐久間遅かった…なっ!?」


佐久間は現れると同時に風丸を倉庫の中に
押しいれた。

「なっなっな!?」

「あはは!じゃあ、ごゆっくり!」

笑顔で佐久間はドアを閉める。
ガチャ、とご丁寧に鍵まで。


「う…嘘だろ〜…?」

中は真っ暗。
しかも余り使わない場所なので非常に気味が悪い。
今にも何かが動き出しそうだ。



ガタガタッ!

「ひぃっ!?」


いや、動き出していた。



「おい、風丸か!?」

「へ…その声は不動…?」

「そうだ!」

「何してんだよ…!?」

「オレも訳わっかんねぇ。いきなり源田に呼び出されたと思ったら飛び箱に縛られた」

「っく!」


思わず吹き出してしまう。
暗くて見えないが、そんな姿の不動を想像すると笑いが込み上げてくるのだ。

「て、てめぇ!」

「あははっ……。え、源田?」

「おう」

「(ちょ、ちょっと待てよ…)」

不動は源田に呼び出されて、
私は佐久間に呼び出された。

……あやしい!


「佐久間と源田グルか!?」

「あ…?……た、確かに!」

何のつもりだよ!
意味分かんない。

「とにかく、ここから出よう?」

「いや…無理」

「え。何で?」

「てめぇオレを置いてく気か?」

「あ…そっか」


仕方なく風丸はその場に座る。
正直、少し彼女は不動に苦手意識があった。

彼と喋ると上手く自分の言いたいことが言えないし、
何かに押しつぶされそうな気持ちで一杯になる。
第一、嫌がらせをしてくる。

気まずい空間だった。



暫く沈黙が続き、
先にそれを破ったのは不動だった。

「…いつも、悪ぃな」

「……えっ」

「だから…よ、謝ってるんだろ!2回言わせる気かよ!?」

「あ、いや」

予想外にも度が過ぎている不動の発言に彼女は驚いたのだ。
いきなり、謝ってくるなど。


「なんかよぉ…」

「うん」

「…お前見てると苛々来るんだよ…っ!」

「………っ!!」

ぐさり。

何故か心に鋭い物が突き刺さった。
何だか無性に…
泣きたくなった。


涙を堪える為に彼女も負けじと言い返す。

「私だって…不動と喋ったりすると凄く、緊張するし、疲れるもん…」

「な……!」


ガチャリ。

バン!!


2人の目に久しぶりの光が映し出される。
その目にはついでに、

「馬っ鹿じゃねぇの!?」

「佐久間、そういう言葉遣いは…」

佐久間と、源田が。


おそらく2人の会話を聞いていたのだろう。
佐久間は半分呆れて、半分怒りながら話す。


「お前等、それが恋ってんだよ!!」

「「!?」」

「早く気付けよ!しかも風丸も不動も両想いなんだよ!!」

「ダイレクトだなー佐久間」

「だって源田!コイツ等見てるとじれったくて苛々するんだぞ!?」


「ちょ…佐久間?」

風丸が?マークを脳内に浮かべまくり、佐久間の暴走を止めようとするも、失敗。
彼女の口はまだ開き続ける。


「あのなぁ不動!」

「あ、おう…」

こちらもおののいている様子。

「お前は中坊か!好きな子いじめるとか今時居ないわ!!」

「そうそう。丸分かりなんだよ」

「風丸見てると苛々するぅ!?もろ好きじゃん!めっちゃ意識してんだろ!!」

「は…」

不動はみるみると顔が赤くなっていく。
理解、し始めたのだ。

自分の内なる想いを。


佐久間の牙は風丸に向いた。

「風丸もなぁ!不動と喋って緊張するとかそれはドキドキしてるってことだろ!いっつも不動のこと授業中見てる癖に!」

「へ…っ!」

「風丸も不動も無意識だったのか…」

「分かったか!お前等、両想いなんだよ!」


「……っ!」

やばい、私。
顔…あっつい…!


チラ、と横目で不動を見ると彼も同じ状況だった。
そして目が合った。


「オレ…お前のこと好き、みてぇ…」

真っ赤になった不動は風丸から目をそらしながら告白する。


ドキドキと胸が高鳴る。
押しつぶされそうになる。

ああ、もしかして。




「私も…かも…」







その日、新しいカップルが誕生した。

真面目で優等生な女の子と、
不良みたいな男。


2人とも顔を真っ赤にして
その日は一緒に帰宅した。

その姿はまるでさくらんぼのように。









「あたし達のおかげだよな!」

「ああ。全くだな」





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長!!
ごめんなさい!

なっが!!
素敵なリクエストに
テンションあがりすぎて書きたいこと詰め込んだらえらいことになってしまった…!

申し訳ない…!


お持ち帰りどうぞ!



・・・・・・・・・・・・・・・・・

かわいすぎます///MoMo様の小説にはいつもキュンキュンさせていただいてます
不動→←風丸♀+源田×佐久間♀
両思いなのに、片思いだと思ってる二人をくっつけようとする源佐久です
なんともめんどくさくて長ったらしいリクエストをここまでやってくださいました!!
ほんとマジ感謝です!!!

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