Give&Get

□ライバルの意味
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視界の隅にはいった群青色の長い髪

ベンチからでも感じられる一陣の風


たまに見せる、やわらかい笑顔


いつの間にか、それら全てを欲するようになっていた






≪ライバルの意味≫






今日もいつものようなハードな練習
もうすぐ試合ということか、みんなの気合がひしひしと伝わってくる

その中で一人ベンチに座ってフィールドを眺めている少年が居た


「不動!」


フィールドの向こう側から少年・不動の名が呼ばれた
不動はめんどくさそうにベンチから立ちあがり声の主の方へと歩いて行く

声の主はイナズマジャパンの天才ゲームメーカー、鬼道だ


「なんだよ、鬼道クン?」

「前の試合の事なんだが」


チームの司令塔である鬼道が何故不動に相談するか
不動もまた、彼とおなじほどの知能、センスを持っているからだ
もう一つの司令塔といっても過言ではないだろう

故に二人はライバル同士、と言っても良い

不動も別にこの関係が嫌なわけじゃない
今まで唯我独尊、一匹狼のような生活をしていたのだから、ライバルと言うものがあっても面白いと思っている
性格真逆の相手にどちらとも負けたくないと思っている

負けたくないと同時に信頼もしている
ここまで自分と同じ立場で話せる相手がいるのだから

仲が悪いそうに見えても二人ともそれなりに相手の実力を認め、信頼しているのだ





フォーメーションについて二人が話しているときにだ


「休憩時間ぐらい、休んだらどうだ?」


透き通った、低くも無く高くも無い、声変わりしきれていないアルトボイスが二人にかかった
姿を見ずとも誰かなどすぐにわかる


「もう、そんな時間か。これが終わったら休憩するつもりだ、ありがとう風丸」

「お前らも、すごいな。オレ話についていけねえや」

「まぁ、風丸チャンには難しい話だからな」

「うるさいぞ不動!!フンッ、どうせオレはお前らみたいに頭良くねえよーだ」


そうむくれながら、風丸は不動に舌をベッと出して、青い髪を靡かせながら駆けていった
その途中、風丸は再び二人に振り返る


「ちゃんと、休憩しろよ?」


そう言い残して、またチームのみんなのところに駆けていった


「本当に、世話好きと言うか」

「母親か、あいつは」


駆けていった青い髪の少年を見ながら二人はそう言った
不動がフっと鬼道のほうを見る
ゴーグル越しであまり悟れるほどではないが、やわらかくさっきの少年に向けて微笑んでいるのが見えた


「(わかりやすい奴。鬼道クンも馬鹿だねぇ)」


そう思って、視線をそらす
不動は知っている、鬼道と風丸が付き合っていることを

他の者たちが気づいているかは知らないが、少なくとも不動は





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