Give&Get
□それがハロウィンの醍醐味ですから
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10月30日
日本人の私にはあまり関係ないのかもしれないけど
私は今、キッチンと向き合い
お菓子作りの本とにらめっこをしている
あまり作り慣れていないけど
みんな食べてくれるかな?なんて
期待を持ちながら
≪それがハロウィンの醍醐味ですから≫
風丸は重い瞼を少しずつ開いた
夜遅くまで作業をしていたせいか布団の中が恋しい
しかし、遅刻をすればまた監督に怒られる
そう思って、体に鞭を打ちながらゆっくり体を起こす
デジタル時計を見れば
長針は“5”を短針は“6”を指していた
つまりは6:05
その下には今日の日付が映っている
10月31日
ぼやけた視界で確かにそれが見えた
低血圧な風丸だがここで寝るわけにはいかずベッドから下りる
床の冷たさに少しずつ頭が覚醒されていった
「確か昨日・・・作り終えた・・・よね?」
寝惚けて昨夜の記憶があやふやの中
机の上に目を向ける
そこにはいくつかの可愛らしくラッピングされたクッキーが・・・
人数-1個分おいてあった
なぜ1個引いたかというと、それが彼女の悪戯
それらをそれぞれ空の箱の中に一つずつ入れた
どれかはお菓子の入っていないただの箱
「誰が当たるのかな?フフッVv」
予想するだけで頬がゆるんでしまう
そして、風丸はクッキーの入った箱と中身がからの箱をカバンに詰めて身支度を始めた
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