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□君は何色?
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今までその色に執着なんてなかった

だけで、いつからか視界に入ると目で追ってしまっていた

そして気づく

君の色だからかなって





《君は何色?》





「えぇっと、何?」


髪を一束摘まんで指に絡めたり弄ってみる
本人は突然どうしたのか、と言ったような驚きと困惑の表情をしていた

別に可笑しい光景じゃない
いつもだって髪を弄っているような光景はよく見られた
だが、今日はいつもと少し違うのだ


「今日は、ずいぶん甘えてくるね、風丸君」

「ん〜?」


そういつも見るのは吹雪が風丸の髪で遊んでいる様子
だが今日は風丸が吹雪の短い髪を摘まんで指に絡めているのだ
椅子に反対に座って前に立つ吹雪の髪を至って無表情でクルクルと弄って遊んでいる

いつもは自分がやっているため実際やられると身動きがとれないし、どうすれば良いのかわからず吹雪は呆然と立ち尽くしていた

いきなり何?と聞いても、ん〜とか、あぁとか曖昧な返事しか来ない


「僕なんかした?」

「何でそうなるんだよ」


少しドキドキしながら聞いてみたら呆れたように返事をされた
どうやら特に気に触るような事はしていないらしいと胸を撫で下ろすと髪から指が離れていった
ようやく解放されたと吹雪は風丸の隣に腰をかけた


「それでどうしたの?デレ期?」

「んな訳ないだろ」


いつも通りからかい混じりで言ってみたら軽くスルーされた
慣れと言うものは恐ろしい


「触りたくなった」

「あぁ、うん」


そうでなかったら何故触ると思うような理由を述べられて吹雪はガクッと肩を落とした
風丸はこんなにハッキリしないようなキャラだっただろうか


「綺麗な色してるよな、吹雪の髪って」

「そうかなぁ?自分じゃわかんないや」


風丸は再び吹雪の髪を弄り始めた
白く綺麗な指が銀色の髪をからめとる


「なんか、The・北海道って感じ」

「どんな感じ?」

「ん〜、雪って感じ?」


最初はあまりに抽象的なことを言われたが『雪』という単語に納得した
確かに吹雪の髪は雪の色のように白銀だからだ


「オレさぁ、もともと白とか銀色とか然程興味なかったんだよなぁ」

「すごい否定された!!?」

「まぁ聞け」


大袈裟にショックを受けたようなリアクションを取ってみたら頭に吹雪は頭にチョップを喰らった
痛くもない力加減はやはり風丸だなと思う


「今まで執着なかった筈の色なのにさ、この頃町で見かけると目で追っちゃうんだよなぁ」


なんでだろうなぁ、なんてぼやきながら頭を吹雪の肩に乗せてきた
肩にかかる重みなんとなく嬉しくて吹雪は少し頬が緩んだ


「僕もね、そういうことあるよ」

「吹雪も?」


頭は乗せたまま、顔だけ吹雪に向けるように見つめてくる風丸は上目遣いのようになっていて可愛いなぁなんて思った
でも、言ってしまったら怒ってきっと今乗せている頭を退かしてしまうだろう
それがいやで、吹雪はその言葉を喉の奥でとどめてみせた


「視界の隅にでも入るとすぐにそっち向いちゃうんだよね」

「へぇ、何色?」


クスッと笑った気がする
いや、吹雪は優しそうに笑ってる
もともと顔が整っているためすごくかっこよく見える
そのため、風丸は少し恥ずかしくなって視線をそらす


「青色」


そう聞いた瞬間世界が反転した
目の前には吹雪の顔に影が掛って、ソファーに押し倒されているとすぐに理解した


「お前何すr・・・」

「青色って風丸君の色だよね」


風丸が口にする前に吹雪の言葉で遮られてしまった
ソファーに広がる青色を一束つまんで口元に添える
その行動までかっこよくて顔に熱が集中していった


「風丸君は、さっき僕の髪の色は雪みたいって言ってくれたよね、じゃあ風丸君の髪の色は風の色だねVv」

「・・・風に色なんて無いし///」

「きっとそんな色だよ」


顔が赤いのを誤魔化すように少し冷たく呟いてみた
しかし満面の笑みで言ってくるのがまた恥ずかしい
だが、『風に色はない』という言葉に吹雪はまた考えたように「う〜ん」と唸った


「じゃあ、北海道の空の色だね!!青くて綺麗なんだよ」


一度見たことある、高く遠くまで透き通った蒼穹に広がっていた
それに例えられたのは、素直に嬉しくなる

ふわっと風丸が微笑んだのを見て、柄にもなく吹雪は頬を少し染めた
そして言ったのを少しだけ後悔する
こんな可愛い風丸を目の前で真正面で見てしまい心臓に悪いからだ


「吹雪?」

「えっ、あっ、いや、何でもないよ。あはは」


微妙な反応をするする吹雪にあやしく思いながらもあまり追求しないでみた
どうせ追及したところでまともな意見が帰ってこないのだ


「僕は自分の髪より風丸君の髪の方が綺麗な色してると思うけどなぁ」

「そんなことないから」


苦笑いしているうちに吹雪が風丸の方に手を伸ばしてスルリと髪ゴムを取ってしまった
こんな悪戯じみたことはもう慣れっこなので何も言わないでおく

だが、風丸は知らない
白いソファーに広がる青色が本当の空のように色づいているのを
サラサラして、光の加減で美しく輝く風丸の髪が吹雪は大好きだった


「僕さ、さっき視界の隅に青色が入るとそっち見ちゃうって言ったよね」

「あぁ、うん」


そう言えばそんな話していたな、と頭の片隅で思った
吹雪に流されて結構忘れてしまっていた


「なんでだと思う?」

「それオレが初めに質問しなかったか?」

「正解はねぇ」

「聞けよ」


話を聞かない恋人にむくれてみると頬にやわらかい物が当たった
突然で、でも、そんなこといつもで、でも、やっぱり恥ずかしくて口をパクパクさせながら顔を一気に赤くした
キスをするなら事前に言ってもらいたい、いや言ってもらっても困るが
突然は一番困る

でも、そんなことお構い無しのように吹雪は無邪気にニコッと笑っている
そして次は風丸の左目に掛かる前髪に口づけをした


「正解は、風丸君の色だからだよ」

「へっ?」

「風丸君の色だから、視界に入ると追っちゃうんだぁ、いつも風丸君を目で追っちゃうように」


また顔を染めてあわてふためく風丸
・・・を吹雪は予想していた
しかし、今回ばかりは誰も予想してなかったのかもしれない

キョトンとした風丸は少し考えた後


「じゃあ、オレも振り返っちゃうのって吹雪の色だからってことかな、いつも目で追っちゃうし」

「えっ」


風丸の口からするりと紡がれた言葉は全てが無意識で、とくに考えずに発せられたものだ
本人にとっては特に深い意味はこもっていないかもしれない
しかし、吹雪の頭の中では何度もリピートされている


「・・・っ〜〜〜〜///」

「吹雪?」


ほのかに赤かった顔は急激に熱がこもり真っ赤になった
そしてそのままに勢いに任せて抱きついたら驚いたように今度こそ風丸も赤くなった


「風丸君なんでそんなに可愛いの!!!僕、青色がもっと好きになったよ!!!!」

「可愛いとか言うな、バカ!!!」


吹雪をはがす作業をしながら、風丸は頭の片隅で思った


――本当に・・・オレだって好きになるだろ、お前の色



きっとこれから一番好きな色は?って聞かれたら


銀色って答えちゃうんだろうな


なんでって聞かれたら



アイツの色だから




END


ただのバカップル、どちらとも赤面してるだけの意味わかめな駄作になってしまった・・・
北海道、行ったこともなければその場所の空だって見たことねえよ←

30000フリリクありがとうございました
陽唯様に捧げます

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