Long Story
□02
1ページ/4ページ
薄暗く長い廊下
足元に僅かな光がほんのりと照らすほどで、薄気味悪さを感じさせる
そんな中、今まで無音だった廊下にカツカツといった軽快な足音が響き渡った
一定のリズムで響くそれは突然歩みを止めた
静寂が包む中、反対側からもう一つの足音が聞こえてきた
その足音も、目の前の存在を認識するとその場に停止する
「戻ってたんだ」
「さっき、次、そっちの番」
「はぁ?ヤダよ、なんであんなポンコツの世話しなきゃいけないんだ」
「そんなこと言われても……」
一人は困ったように苦笑いして、もう一人は降参したように溜め息を吐いて一つの鍵を奪い取る
「そういえば、『あれ』はそろそろ出して良いんだよね?」
「うん、随分、落ち着いてきたから」
そっか、と言って鍵を受け取った人影はもう一人に背を向け歩み出した
それを見かねて名を呼べば振り返ってキョトンとしたような顔を浮かべる
「『あれ』に合う場所あるの?」
「見つけたよ、結構前から『あれ』はあそこがピッタリだって思ったんだ。適材適所ってやつ」
あそこって?
そう聞けば、今まで無表情だった口許を三日月のようにつり上げて笑った
背筋が凍りそうな、だがどこか無邪気な子供のような笑み
『マサラタウンだ』
始まりは何も告げないけれど
確実に何かは近づいている
・