Long Story
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夢を見た
暗い暗い部屋の中
見覚えがあるようで記憶にない
暑さも寒さも感じない
あぁ、夢の中なんだ
小さな男の子の泣き声が聞こえた
見覚えがあるようで記憶にない
何で泣いているかわからない
声をかけようにも、言葉が出ない
君は誰?
どうして泣いているんだ?
言葉は浮かぶのに声に表せれない
その男の子の頭を撫でる
振り向いた少年はまだ幼い、きっと10にも満たさない
そんな少年の瞳からは綺麗な雫が零れる、零れる
。 *
. *
.
* .
.
* 。
. *
.
。
.
* .
.
。
*
―貴方は幸せですか?
少年は問いかけた
はいっ、幸せです
そう答えれば、安心したように笑った
―でも、気を付けてね
しゃがみこんでいた少年は顔を除き込んできた
―今幸せな人は、それ以上幸せになれないから
悪戯っ子のように笑った少年は大人びていた気がする
見覚えがあるようで記憶にない
子供は笑いながら闇の中に消えていった
その真っ暗な瞳には涙はもうない
どこかで見たことあるような男の子
どこかで聴いたことのあるような声
どこかで見たことあるような場所
だけど
記憶にはない
考えれば考えるだけ
意識は闇の中に沈む……
次に見えたのは綺麗な緑色
どこかで見たことあるような
そう思っていると手が触れる
暖かい
これは夢じゃないんだ
―おはよう 。
呟かれた言葉は優しくて、心地が良い
―よく眠れたか?
あまり夢を見たよ
―夢?どんな
……あれっ、覚えてないや
そう言ったら笑われた
それでも、なんだか幸せに感じた
おはよう、 。
この時、記憶の中になかった
さっきの言葉
『今幸せな人は、それ以上幸せになれないから』
誰も気づかない
静かに何かが近づいてきているのを
誰も知らない
歯車は、音をたてずに止まり始めた
誰もが願った
こんな幸せが続きますように
―もうすぐだよ、 。
暗闇の中
少年は静かに笑っていた
クリムゾン†アヴィス
その男の子の瞳の色は
綺麗な赤色をしていた
【プロローグ:END】