Give&Get

□ありがとうを君に
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「オレ?」


その画面には、今日のデートでのオレだった
ずっと、携帯を見ていたのはこれを見ていたから?


「・・・恥ずかしくて、お前を直接見れねえんだよ。悪かったな。それに・・・」




あんな女どもより、お前の方がずっと綺麗だ





不動の口がそう告げた
あの不動がだ
恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら、そう告げてくれたことが
嬉しいやら、こっ恥ずかしいやら。いろんな感情が渦巻く


「綺麗って言われても嬉しくねえよ」

「実際そうなんだから仕方ねえだろ」

「しかも、これ隠し撮りだし」

「うるせえよ」


自然と笑みがこぼれる
これだからこいつは


「大好きだよ、不動」

「俺は言わなくてもわかるだろ」

「言ってVv」

「・・・好きだ。風丸」


エヘヘと笑うとおでこを小突かれた

あっ、そうだ。
オレはポケットの中からあれを取りだす


「不動、これ」

「あぁ?」


不動はそれを受け取って、箱から中身を取り出す
喜んでもらえるだろうか


「これ」

「ん、不動に似合うかなって思って・・・」


黒い石のネックレス
見てたらなんとなく不動みたいだと思って買ってきたもの


「サンキュ、ありがたくもらっとく」


その言葉が嬉しくて、オレは砂浜の方に駆けていく
ライオコット島は星がきれいだな

そろそろ帰らないと監督に怒られそうだ
そう思って、不動の方を振り向く


「不動!帰ろ!!」

「あぁ。・・・あっ、ちょっと、お前そこ動くな」

「ふえ?」

「いいから」


すると、不動は携帯を構えてこちらに向けている
そして、次に来たのはフラッシュ
何か、写真を撮ったのだろう


「何撮ったんだ?」


オレがカメラを覗き込む
今度は隠さず見せてくれた


白い浜と海と、そして星空を背景に中心にオレがいる


「フフッ、もしかして、不動って将来カメラマン希望?」

「んな、わけねえだろ」


そうやって、笑う不動のカメラを奪う
何すんだって言いたそうなアイツの腕にオレは自分の腕をからませてカメラを構える


「笑えよ」

「んなことできるか」


本当に素直じゃないな
まぁ、それがこいつか

そう思ってオレは指に力を入れる
それから少し遅れて目の前が一瞬白く光る


映し出された写真を見て不動は口角を上げる


「へたくそ」

「うるさい///」


そして、パタンと音をたてて携帯を閉じた


「これが一番のプレゼントだな」

「ネックレスは?」

「あれも良いけど、これは俺とお前が映ってる」


そう言って、不動がまたオレの頭に掌を乗せてなでる
あったかい、こんな不動の手が大好きだ
そして、オレは今日、一番言いたかった言葉を告げる




「誕生日おめでとう、不動」

「あぁ、サンキュ」








その後、遅く帰って監督にこっ酷く怒られた
だけど不動と一緒だったから、辛くなかった



その後、メールと一緒にあの時の写真が送られてきた
本当にへたくそだ、と言いながら
オレはその写真を保存して、携帯の待ち受けにした


そして、送信メールには






『ありがとう、大好きだよ。これからも一緒だからな』




そう打って、携帯を閉じた


これほど、返信を待ち遠しく思ったのは初めてだ



そして、携帯の着メロが流れた瞬間、オレは再び携帯を開く

その待ち受けには、白い浜、真っ黒な海と満天の星空をバックに
二人やわらかく笑っている写真



END
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