紅花

□世界は混ざる
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「気になるなぁ」
友は視点はパソコンのまま嘆息とともに呟いた。
「何がだ?」
「どうしたの?気になるって……」
「紅花学園って知ってる?知らないよね」
「僕はともかく氷姫は?」
「……ん〜私の記憶にはないな。私も調べてみるよ?その紅花学園がどうかした?」
「うにぃ……内情が全く判らないんだよ。調べ尽くして出てくるのは名前だけ」
「場所も?」
「うん」
「…友、パソコン貸して」
氷姫は友に向き直る。
「ひーちゃんがやる気だ♪」
「だって友の悩みだもん」
「はい、ひーちゃん」
友は立ち上がる。氷姫が座ると膝の上に友が乗る。
「友、見えない……」
「友、氷姫の邪魔するな。ほら」
いーちゃんがおいでおいでと手を振る。友はわーいと言いながらいーちゃんにダイブした。
「わ……」
いーちゃんが声をあげる。氷姫は既に物凄い速さでパソコンを弄っていた。
唐突に、画面が真っ暗になった。

『紅花学園』

日本、沖縄県慶良間列島渡嘉敷島にある学園であり学園でない学園。

そう白い文字で表示された。
だが、一瞬で消えた。
「……人為的に、ねぇ?私に喧嘩を売っているのかしら。
面白いじゃないですか。買って差し上げましょう。ですから貴方は敗北し、地面に平伏し、時に死に、時に生き、時に壊れ、時に狂う。この私、《人類最凶で人類最狂で人類最愛の蒼》によって」
氷姫は笑う。
「あーあ、ひーちゃんにスイッチが入っちゃった」
「喧嘩を売ったのが誰かは知らないけど……哀れだな」
「哀れだね」
「今すぐ抵抗して差し上げましょう。私をなめないで、侮らないで、見下さないで頂きたいものですね」
氷姫はキーボードに手を伸ばした。カタカタカタカタと打つ音が続くことたった一分。作業は終わる。
「私は《人類最凶で人類最狂で人類最愛の蒼》。貴方に負けることはありません」
「……で結局、沖縄県慶良間列島渡嘉敷島にあるわけか。どうするんだ?友」
「やっぱり気になるんだねっ」
「じゃあ行く?」
「行くっ」
引きこもりの友はそう答えた。
「じゃあいーちゃん、荷物の準備に行かなきゃね。友、退いてあげて」
「はーい」
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