寝かしつけの友

□夜の郵便やさん
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夜の郵便やさんがいました。

黒い服に、黒い帽子。
ネクタイは赤で、かばんも赤です。

今日も郵便やさんは、配達にでかけます。

最初のお届けものは、ふくろうのホウさんの家でした。

「こんばんは、ホウさん郵便です」

ホウさんは、嬉しそうに丸い目をきらりと光らせました。

「ありがとう、郵便やさん」

お届けものは、隣の山のお母さんからの手紙でした。

ホウさんが手紙をよんでいる間に、次の配達にでかけます。

次は猫のニャーさんに小包の配達でした。

「こんばんは、ニャーさん。郵便です」

ニャーさんは長いしっぽをぴんと立てて、大きく一つ鳴きました。

「ありがとうニャー」

「いえいえ、どういたしまして」

小包はカツオブシのプレゼントでした。

ニャーさんが美味しそうに食べるのをみて、郵便やさんもお腹がすいてきました。

そういえば、まだお弁当を食べていません。

次の配達が、木の上に住む猿のサルサさんだったので、その前にお弁当にすることにしました。

木の上に登るのは一苦労です。その前に力をつけないとね。

サルサさんの家の近くにある野原で、郵便やさんはお弁当を開けました。

星のふりかけで作ったオニギリと、月の光を浮かべて飲むお茶を、ゆっくり食べると、また元気がでました。

「さて、サルサさんの所に行こう!」

郵便やさんは、一生懸命木に登りました。

手が痛かったけれど、サルサさんは手紙を待っているにちがいありませんから。

やっとたどり着いた木の上で、サルサさんは本を読んでいました。

「こんばんは、サルサさん。郵便です」

「あ、郵便やさん!こんな高い所までありがとう」

サルサさんは本を読むのをやめて、手紙を受け取りました。

それは、遠くに離れてしまった友達からの手紙だと郵便やさんは知っていたので、そっと木を降りました。

「さて、次で終わりだなあ」

郵便やさんは最後の小包をみて、

「あれ?」

と、首を傾げました。

そこには子供の名前が書いてあります。

こんな遅い時間、子供はもう寝ているはずです。

夜寝ている人への郵便は、昼の郵便やさんが届ける事になっているのです。

郵便やさんは困りましたが、一応届けてみることにしました。
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