short book

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裏切り者の1年半.








― aitai noha atasidake?.(kaku)









「お前には伝えなきゃと思って」

パウリーが悔しそうに寂しそうに、どこか謝る形でわたしに言った。部屋の中まで伝わる水の音、あたしの代わりに泣いてくれているのかもしれない。

「そっか」

これしか、言葉にならなかった。パウリーがあたしに質問攻め。お前はSか・・・てっきりM属性だと思ってたよ。

「ほ、ほんとにいいのか?!悔しくないのか?!」

「・・・うん。」

「お前・・・」




だって・・・何も、いえないじゃない。




あたしと、付き合ってたことももしかしたら任務の1つだったりとかするかもしれないし、それに、悔しくったって、伝える手段は何もない。




何も、ないんだから。






少なからずシュンとなったあたしにパウリーは何回も謝った、やっぱり伝えないほうがお前のためだったのか?とか、引き止められなくてごめん、とか・・・。

パウリーはなにも悪くないのに。



「ありがとうパウリー、でもねもういいの」

「・・・っ」



ぎゅって拳をにぎってるパウリーはとても、とてもつらそうだった。だから、いつもどおり笑った。


一人ぼっちになった部屋は広すぎて、切なくてあたしは涙もでなかった。あなたの出入り口はドアじゃなかった、あたしは窓を見つめいまにも、いまにもオレンジ色の笑顔が見えるのではないかと期待をする。



期待をするだけ、無駄なのに。




あいたい、あいたいのはあたしだけ?




「あいたいよ、カク」




そっとこぼした言葉は誰に拾われるわけもなくて、そのまま部屋の片隅に消えた。部屋の外はいつもと同じにぎやかなのに、あたしの周りの空間は、何もなかった。なんの音もしない。







出て行こう。


この部屋を、この国を。








ここにいるのはつらいから。
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