short book
□a
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パウリーから聞かされてから、1ヶ月がたち、2ヶ月がたち、1年が経った不思議と涙はでなかった。別に、振られて泣き喚くような女ではないことは分かっていたけど、ここまで泣かない女だとは思っていなかった。
過ごしていく日常でたくさんでてくる彼との思い出。2人が大好きだった曲のオルゴール、ゴミ箱行き。2人で撮った写真のアルバム、ゴミ箱行き。カクがくれた誕生日プレゼントやくれたもの、ゴミ箱行き。
このときはさすがに目頭が熱くなった。
でも耐えた、耐えてやった。
泣いてやるものか。
「あほ。泣くな泣くな泣くな!」
下唇をかみ締めて涙が垂れるのを耐えた
カクなんか、どっかいっちまえ
べつに悲しくなんかないんだ。
カクがいなくてもどってことない
さぞ面白かっただろう?
そう考えれば濁る思い出。
大丈夫大丈夫・・・、あたしは強い。
ゴミ袋の口を縛ってゴミの日に出した
「これで、忘れる」
―さよなら、カク
・・・・・
海列車の切符を握り締めて大きな荷物を抱えて、まるでアニメの主人公だ、旅に出ます的な。あと5分でセントポプラ行きの列車が来る、パウリーはまた謝った。俺のせいだとかなんとか、
「パウリー、ばかだなあ」
「?」
「カクは死んだの」
「・・・お前」
「そう、死んだの」
そういって微笑んだあたしをパウリーはボロボロなきながらぎゅってしてくれた。
「元気でな、落ち着いたらまた戻って来い」
パウリーはいい人だ、うんって頷いた。でも戻ることはないだろうねって心で誓った。
海の水平線から黒いのが見えた。
ガタン、ガタン。
おわかれだね、カク。
何回、心で唱えただろう。
さよなら、ばいばい、おわかれだね
何回も、何回も言う言葉ではない。
でもそれでも何回も、何回も
気づけば唱えている。
「これで、最後」
最後なんてもう100回言った。
どうしてだろう、いつからだろう
―あたしはカクがすきなんだ。
気づけばいままで耐えていたはずの涙が頬を伝うのが分かる。ずっと、ずっと我慢してたからかとても熱い、熱い涙だ。とまらないとまらない。さようならさようなら。
―あなたは死んだ
海列車が到着しあたしの前で蒸気の音をたててドアが開いた。水の音とにぎやかなこの音があたしの背中を引っ張る、でも
「もう、最後だっていったでしょ?」
そういって足を前に踏み出した。
その足は空を踏みあろうことか反転させられた身体は壁に激突し荷物が手から離れた、その空いた手はぎゅっと握られている。
「どこにいくんじゃ、・・・」
「・・・カク」
聞きたいことはたくさん、たくさんある。
―aitakatta noha atasidake?
「そんなことはない、わしもじゃ。」
end-
20100626 pida.
あー・・・重いし意味わかんないし、ごめんなさい。
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