短編

□子供になりたかった大人
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目をキラキラと輝かせ、パフェを頬張る彼はとても、幼く見えた。



episode, 子供になりたかった大人




「すっごく、美味い!」
「それ、凛が作ったんだぜ?」
「か、篝さんっ。それは言わない約束だったじゃないですか!」

監視官の結城と執行官である二人の会話はとてもじゃないが、監視官や執行官という関係には見えない。ワイワイと会話を弾ませる三人に征陸は見守る。それに気付いたのか、通りがかった狡噛が此方に来た。

「とっつぁん、」
「アンタは凛を見に来たんだろう?」
「…とっつぁんこそ、」

狡噛は凛が心配だったのだろう、様子を見に来たようだ。だからと言って、自分が結城を心配で見に来た訳ではない。ただ、観察していただけだ。
ちらりと三人を見やれば凛は顔を真っ赤にして照れて、篝はそれをちゃかし、彼はパフェから目を離さずにいる。仲が良さそうでよかった。

「…凛は人見知りが激しいからな。引っ込み思案で、」
「小動物、みたいだな」
「それに比べて結城は、よくわからない」
「……そうだな、」

篝とは歳が近い凛は、執行官の中では一番弱く見えがちだ。しかし、殺る時は殺る。迷いなんてものはなく、きちんと照準を合わせてトリガーを引くのだ。それだけは、彼と何処か似ていた。

「、お前凄いな!俺…尊敬しちゃう」
「ぼ、僕はそんな…尊敬されるような、ことなんて…してないよ」




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