その他

□聖人君子のよう
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変換ありません、すみません。主人公=あいつ                  







いつもいつも俺の味方をしてくれるのはあいつだけ。               

臨也の、あのノミ蟲の言うことなんか、つって大きな手で撫でてくれるのもあいつだけ
だし、臨也は天邪鬼だからなぁ、つって何でもないことのように苦笑するのもあいつだ
けだろうな。やっぱ人間が出来てるヤツは違うよなぁ。              

新羅のあの病気も普通に聞いてるし、門田の不幸話にもよく付き合ってやってる。
仕事も、大企業に就職して超エリートだし、もちろん俺らの中でも移色なぐらい格好い
いと女連中からモテはやされてる。                      


やっぱり世の中は不公平だと思いながらもあいつがいてくれて良かったというかなんと
いうか、あのくそノミ蟲を宥められるのも、俺を鎮めさせてくれんのもあいつのおかげ
ていうのが大きいしな。つか、あいつ居ねぇと成りたたねぇ気がする。       



「「――――あ、」」                             

「……っ、臨也くんよぉ…! なんで手前が池袋にいんだよ、あぁ!?」      

「何処にいようが俺の勝手だよねぇ。あれ、いつの間に池袋はシズちゃんのものなんか
になっちゃったのかな、かな。俺知らなかったよ、ごめんねぇ。それならそうと言って
くれればこーんな風に平日の真昼間にシズちゃんと鉢合わせすることなんてなかっ…、
いだだだ」                                  


「二人とも通行の邪魔だよ。臨也、わざとに長い文章を喋らないこと、静雄がキれる。
それから静雄、ガードレールから右手放しなさい。ぐにゃぐにゃになってるじゃんか」


眉間に皺を寄せたまま俺も臨也も窘めるとすぐにいつもの微笑みを浮かべた。    
俺とノミ蟲のやりとりなんざ、いつものコト過ぎて慣れちまってる。天邪鬼だと称され
ていた臨也もあいつの言うことは聞くみたいだからこんな風に収拾がつけられるって
わけだ。なんだっけ、……そうだ、合理的だ。                   


「あ、静雄、待たせてごめん。じゃあ行こっか」                 

「あ、ああ……っ」                              




俺と一緒に歩き出したあいつの腕を、ノミ蟲が引いてボソリと何かを言っていた。  



「…っ、ねぇ、いつまでそんな風にしてるつもり?」               


「…………いつまでがいい? お前ら、こっちの方がだぁいすきだろ…?」     



二人の話が聞こえることはなかったが、臨也が顔を真っ赤にしてたのは…わかんねぇ。





彼は聖人君子のようでした。
     俺の正体、いつバラそうかなぁ……。                 





2010/07/03



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